2013/14年度の冬作物の作付けは順調に進展、小麦生産量は前年度比15.0%増の見通し(豪州)
2012/13年度のソルガム生産量は前年度から2割超の減少
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は6月12日、2012/13年度(7月〜翌6月)の夏作物および2013/14年度の冬作物生産見通しを発表した。
これによると、2012/13年度の夏作物の収穫作業はおおむね終了し、ソルガムの生産量は172万1000トン(前年度比23.1%減)とみられている(表1)。前年度から大幅な減産が見込まれることについて、作付面積が大きく減少した(前年度比14.3%減)ことが要因となっている。ソルガムについては、シーズン開始当初、播種前の堅調な国際穀物価格によって作付面積は大幅に増加し、2年連続での増産が見込まれていた。しかしながら、2012年8月頃から、主産地であるクイーンズランド(QLD)州南部やニューサウスウェールズ(NSW)州北部を含む広範囲で温乾燥が拡大したことにより、播種作業が妨げられ、作付面積は減少した。
ほかの主要な夏作物についてみると、豪州の代表的な夏作物である綿実も、ソルガム同様に作付面積の減少から、大幅な減産が見込まれる。一方、NSW州のかんがい地域で生産されるコメは、かんがい用水の貯水量が豊富なことから、作付面積及び単収が増加し、生産量は前年度から26.2パーセント増と、大幅に増加している。
2013/14年度の冬作物生産量は、小麦が前年度比15.0%増、大麦が同9.7%増の見通し
現在進行中の2013/14年度の冬作物の播種作業は、西オーストラリア(WA)州で播種時期の降雨量が平年並みから平年以上となったことから、順調に進展している。また、東部では、4月頃まで干ばつが続いていたが、5月以降には、生産地域の広い範囲でまとまった降雨が観測されており、播種の状況が改善した。
また、作物の生育に影響を及ぼす今後の降雨については、豪州気象局の7〜9月の降雨量予測によると、WA州と東部いずれも、平年以上の降雨が得られる可能性は高いとみられる。
こうした状況を受け、小麦及び大麦の生産量は、作付面積の増加と生育期間中の降雨による単収増加が見込まれることから、小麦が2539万9000トン(前年度比15.0%増)、大麦が741万7000トン(同9.7%増)と、いずれも増加が見込まれる(表2)。
小麦などと比べて播種の時期が早いカノーラは、5月以降の降雨が作付面積の増加につながらなかったことなどから、生産量は323万トン(同17.1%減)と大幅減が見込まれる。
なお、QLD州やNSW州北部以外の生産地域では、少雨が長期間続いたため、現在、下層部の土壌水分量が低下しており、単収増加は生育期の降雨量にかかっている。したがって、ABARESは、今後の降雨量次第で、生産見通しの下方修正の可能性もあるとしている。
【伊藤 久美 平成25年6月20日発】
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