2014年EU予算案−欧州委員会、現在の欧州を反映−
欧州委員会は2013年6月26日、2014年のEU締結予算案1を発表した。総額で420億1千万ユーロ、うち補助金など支払予算2は1359億ユーロとしている。2014年の予算は、2013年と比べおよそ6%低いものとなった。
財政契約および予算委員のJanusz Lewandowski氏は、この発表に際し「予算案は7月1日までに決定しなくてはならないというリスボン条約の規定に基づき、本日、我々はこの予算案を発表する。しかしながら、2014-2020年の多年次財政枠組み(MFF:Multiannual Financial Framework)の最終結果に照らし合わせて、当予算案も調整する」と述べた。
欧州委員会では、2014年の予算案を直近の多年次財政枠組み交渉を基に作成した。 また、2014年の総額には、2013年に決定した補正予算を繰り入れたものとなっている。
2014年予算案は、EUのGNIの1.05%に当たり(2013年は1.15%)、支払予算は1.01%(2013年は1.1%)となり、初の予算減額となる見込みである。
※1:締結予算とは、当該財政年度に行える事業契約の総額予算枠で、事業の実施は複数年にわたっても構わない。
2:当該財政年度の支払いに充てる総額予算枠
2014年は、財政規律(一律カット)は避けられない状況に
農業部門の予算総額は、592億4770万ユーロを計上している。このうち、6月に政策的合意に至った共通農業政策(CAP:Common Agricultural Policy)と農村開発の予算は、577億6千万ユーロとなる見込みである。
また、CAPの中に含まれる直接支払に係る第1の柱(市場措置および直接支払)で利用可能な上限額は、437億7千万ユーロが見込まれ、必要とされる予算に対し10億460万ユーロ下回ることになる。そのため、直接支払における財政規律(一律カット)が避けられない状況となった。(財政規律の詳細については
、「欧州委、CAP直接支払に「財政規律」発効を提案(2013年4月22日)」をご参照ください。)
なお、2014年の予算案については、7月25日までに欧州閣僚理事会が、10月末までに欧州議会がそれぞれ意見を提出することとなっている。もし双方の意見に相違があった場合、21日間の調停手続きを踏まえ、年末(11月もしくは12月)に開催される欧州議会総会において最終合意がなされる予定である。
【矢野 麻未子 平成25年7月12日発】
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