2013年(1〜6月)の農業生産額は、前年同期比0.9パーセント増加(フィリピン)
フィリピン農務省農業統計局(BAS)はこのほど、2013年(1〜6月)の農業生産状況を公表した。これによると、農業部門全体の生産額(現行価格)は、前年同期比0.9%増の6971億ペソ(約1兆5337億円:1ペソ=2.2円)となった。
耕種部門はトウモロコシ、サトウキビの減産が影響し、生産額は減少
農業生産額の5割以上を占める耕種部門は、トウモロコシやサトウキビなどの減産が影響し、前年同期比4.3%減の3751億ペソ(約8252億円)となった。主な品目の内訳は、米(もみ米)が1289億ペソ(約2837億円、同0.5%減)、トウモロコシが413億ペソ(約909億円、同7.3%減)、サトウキビが226億ペソ(約498億円、同11.0%減)、キャッサバが68億ペソ(約892億円、同9.9%増)となった。
トウモロコシは、北部のカガヤン・バレー地方などの主産地で、は種期に十分な降水量を得られなかったため、単収の減少を引き起こしている。この結果、生産量は332万トン(同4.2%減)となった。サトウキビは、前年から引き続き、株出しの成育不良やミンダナオ地方での油ヤシへの転作が響き、1451万トン(同8.1%減)と減産傾向にある。一方、キャッサバは、北部ミンダナオ地方で作付面積が増加し、さらに同地域で高収量が見込めるタイ品種を導入したことなどにより、生産量は113万トン(同1.1%増)となった。
家畜部門の生産額は、牛肉、豚肉がけん引し増加
家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)の生産額は、前年同期比11.4%増の1118億ペソ(約2459億円)と増加した。内訳を見ると、牛肉が108億ペソ(約238億円、同5.5%増)、水牛肉が49億ペソ(約108億円、同2.1%増)、豚肉が918億ペソ(約2021億円、同13.1%増)、ヤギ肉が38億ペソ(約84億円、同3.5%増)、生乳が2億9000ペソ(約6億円、同3.6%増)と、全ての品目で前年同期を上回った。
生産量を見ると、牛肉は、生産者販売価格が好調なことから、ルソン島、ヴィサヤス諸島、ミンダナオ島を中心に飼養頭数が増加し、12万5640トン(同2.3%増)となった。一方、水牛肉およびヤギ肉については、飼養頭数の減少により、と畜頭数が減少したため、それぞれ6万9360トン(同1.5%減)、3万6630トン(同0.4%減)となった。豚肉は、イロコス地方や西ヴィサヤ地方などで飼養頭数が増加し、生産量は95万6250トン(同2.4%増)となった。豚肉生産量増加の背景には、首都マニラを中心にレチョン(豚の丸焼き、フィリピンの代表料理)向けなどの豚肉需要が高まり、生産者販売価格が好調だったことが挙げられる。生乳生産量は、乳用牛の輸入などで飼養頭数が増加したため、9,590トン(同2.3%増)となった。
家きん部門の生産額は、鶏肉の需要増により増加
家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)の生産額は、前年同期比6.3%増の864億ペソ(約1901億円)と、畜産部門と同様に増加した。内訳を見ると、鶏肉が638億ペソ(約1405億円、同7.2%増)、アヒル肉が12億ペソ(約27億円、同0.8%増)、鶏卵が195億ペソ(約430億円、同3.6%増)、アヒル卵が17億ペソ(約38億円、同7.8%増)と、軒並み増加した。
生産量を見ると、鶏肉は、生産性の向上と外食産業を中心とした需要の伸びにより、75万トン(同5.0%増)となった。生産性の向上についてBASは、イロコス地方やカガヤン・バレー地方、ビコール地方で、鶏舎のトンネル換気の普及により生体重が増加し、さらにへい死率が減少したことを挙げている。採卵鶏も産卵率が向上し、鶏卵生産量は21万トン(同2.5%増)となった。アヒル肉は1万トン(同0.7%減)となり、生産費の上昇などにより減産傾向にある。アヒル卵の生産量は、産卵率の上昇と、バロット(孵化直前の卵を茹でたもの)向けなどの需要の高まりにより、2万トン(同4.6%増)となった。
【木下 瞬 平成25年10月17日発】
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