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EU-カナダ貿易協定交渉、政治的合意に

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EUのGDPは年間およそ120億ユーロ増の見込み

 欧州委員会は10月18日、EUとカナダの包括的経済貿易協定(CETA:Comprehensive Economic and Trade Agreement)について政治的合意に達したことを公表した。
EUにとってG8参加国との協定締結は初めてとなり、今後、カナダとの貿易拡大により、EUの新たな雇用創出が期待されている。
 欧州委員会では、当該締結により双方の経済成長と雇用創出が促進され、2国間の貿易額はおよそ260億ユーロ増加、EUのGDPは年間120億ユーロ増加と予測している。
 欧州委員会のバローゾ委員長は「今回の貿易協定は、EU経済にとって非常に重要かつ野心的な協定である。カナダは、先進国の一つであり、本協定は製品およびサービスにおいて双方の市場アクセスを拡大させEUおよびカナダの企業にとって新たな機会を提供するものである。また、北米市場に対する強力な足場を獲得し、欧州にとって成長と雇用を生み出す。」と述べた。また、EU通商担当委員のカレル氏は「過去数か月にわたり本交渉締結のために取り組んできた。合意に達するまでは挑戦であったが、成熟した経済間の包括的自由貿易協定は、最初のものとなる。」と述べている。

EU規則地理的表示(GIs:geographical indication)にカナダも準拠

 本協定(CETA)により、関税撤廃の比率(貿易自由化率)は99%となり、さらに金融サービス、電気通信分野、エネルギー分野、輸送分野、サービス分野も自由化される。 また、カナダは、初めて政府調達分野についてEUに市場を開放した。
同協定には、EU規則地理的表示(GIs)レベルまでカナダの知的財産権保護および農産物の名称保護制度の改善が含まれており、双方の特定農産物に対する保護も合意されている。
 また、当該協定締結に際し、「貿易における持続可能な発展」を双方の原則および目標とすることとし、貿易や投資による開発が環境に影響を及ぼさず、むしろ経済成長、社会発展および環境保護について双方が協力し合うことが盛り込まれている。

EU-カナダの貿易状況

 EUにとってカナダは、EUの総対外貿易額の1.8%(2012年)を占め、12番目の貿易相手国である。カナダにとってEUは、カナダの総対外貿易額の10.4%(2011年)を占め、米国に次ぐ2番目の貿易相手国である。2012年の2国間貿易額は618億ユーロとなり、EUからの主な輸出品は、機械、輸送機器、化学製品などである。

今後のスケジュール

 政治的合意を基に残る技術的な論点の合意を得た後、欧州理事会および欧州議会による承認を経て、最終的な合意となる予定である。
【矢野 麻未子 平成25年10月21日発】
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