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2013年(1〜9月)の農業生産額は、前年同期比1.6パーセント増加(フィリピン)

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 フィリピン農務省農業統計局(BAS)は11月15日、2013年(1〜9月)の農業生産状況を公表した。これによると、農業部門全体の生産額(現行価格)は、前年同期比1.6%増の1兆271億ペソ(約2兆3624億円:1ペソ=2.3円)となった。

耕種部門の生産額は、7〜9月に発生した台風の影響で減少

 農業生産額の5割以上を占める耕種部門は、前年同期比2.7%減の5504億ペソ(約1兆2661億円)となった。主な品目の内訳は、米(もみ米)が1880億ペソ(約4324億円、同0.5%増)、トウモロコシが725億ペソ(約1667億円、同2.9%減)、サトウキビが244億ペソ(約562億円、同9.3%減)、キャッサバが116億ペソ(約266億円、同15.0%増)となった。特に米やココナッツ、パイナップルなどの主要作物は、7〜9月に複数発生した台風が主産地を直撃したため、耕種部門全体の生産額はマイナス成長となった。
 生産量を見ると、トウモロコシは、単収や収穫面積の増加を受けて、592万トン(同0.4%増)となった。南部のソクサージェン地方では、ハイブリッド種子やGM種子を利用し、施肥量も増加させたため、大幅な収量増を達成した。サトウキビは、前期から引き続き、株出し後の成育不良やミンダナオ地方での油ヤシへの転作が影響し、1567万トン(同6.4%減)と減産傾向にある。一方、キャッサバは、加工用の需要増により中部で作付面積が増加し、さらに同地域で高収量が見込めるタイ品種を導入したことなどにより、生産量は167万トン(同5.5%増)となった。

家畜部門の生産額、全品目で前年同期を上回る

 家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)の生産額は、前年同期比10.7%増の1668億ペソ(約3837億円)と増加した。内訳を見ると、牛肉が159億ペソ(約366億円、同4.4%増)、水牛肉が72億ペソ(約165億円、同2.6%増)、豚肉が1374億ペソ(約3161億円、同12.3%増)、ヤギ肉が59億ペソ(約135億円、同3.8%増)、生乳が4億ペソ(約10億円、同5.4%増)と、全ての品目で前年同期を上回った。
 生産量を見ると、牛肉は、上半期の生産者販売価格が好調だったことから、北部および南部から中部の消費地への生体輸送が活発化し、18万トン(同1.5%増)となった。豚肉も牛肉同様、生産者販売価格の上昇によりフィリピン全体で豚の飼養頭数が増加し、生産量は143万トン(同2.2%増)となった。一方、水牛肉およびヤギ肉については、前期から引き続き飼養頭数が減少したため、それぞれ10万トン(同1.1%減)、6万トン(同0.6%減)となった。生乳生産量は、乳用牛の飼養頭数増加を受けて、1万トン(同5.2%増)となった。

家きん部門の生産額は、鶏肉の需要増により増加

 家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)の生産額は、前年同期比5.3%増の1281億ペソ(約2947億円)と、畜産部門と同様に増加した。内訳を見ると、鶏肉が947億ペソ(約2178億円、同6.0%増)、アヒル肉が18億ペソ(約42億円、同0.2%減)、鶏卵が290億ペソ(約667億円、同3.2%増)、アヒル卵が26億ペソ(約59億円、同9.7%増)となった。
 生産量を見ると、鶏肉は、生産性の向上とファストフードを中心とした外食産業からの需要増により、113万トン(同5.0%増)となった。生産性の向上についてBASは、イロコス地方やカガヤン・バレー地方、ビコール地方で、鶏舎のトンネル換気の普及による生体重の増加を挙げている。鶏卵は、採卵鶏の産卵率の向上などにより、32万トン(同2.5%増)となった。アヒル肉は、飼養羽数の減少に加え、年末の最需要期に向けて処理量が抑制されたため、2万トン(同1.1%減)となった。アヒル卵は、ルソン地方やビサヤ地方など主産地における産卵率の上昇により、3万トン(同3.2%増)となった。
表
図 フィリピンの主な行政区分
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【木下 瞬 平成25年11月26日発】
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