アイルランド産牛肉、12年ぶりに輸入再開
厚生労働省は12月2日、アイルランド産牛肉および牛内臓肉の輸入再開を発表した。厚生労働省によると、牛海綿状脳症(BSE)発生国であるアイルランドからの牛肉等については、平成13年より日本への輸入が禁止されていた。しかし、本年4月に食品安全委員会に諮問、10月に食品健康影響評価結果が通知され、これを踏まえ、アイルランドで対日輸出条件を遵守できる体制の確認が取れたことから、今回の再開となった。
EU加盟国からの牛肉輸入国は、本年2月1日に再開となったにフランス、オランダに続き第3国目となる。
出展:Google map
輸入条件
月齢制限は、30カ月齢以下、特定危険部位(SRM)の範囲は、月齢制限を前提として、扁桃および回腸遠位部とする。
アイルランドの反応
アイルランドのティーショク(Taoiseach)首相は、当該決定に対し「アイルランドと日本における信頼の証明であり、素晴らしいニュースである。」と述べた。アイルランドでは、アジアで最大の牛肉輸入国である日本の市場への再開は期待が大きく、アイルランド食糧庁(Bord Bia)は、本輸出再開により、1200万ユーロ(16億8千円、1ユーロ=140円)から1500万ユーロ(21億円)の利益が生み出されると試算している。
アイルランドの牛肉生産
2012年のアイルランドの牛肉生産量(枝肉重量)は、49万5千トンで、EUの中でも第5位の生産量であり、主要生産国の一つである。2012年の牛肉輸出量は、EU域内・域外合計で29万764トン、うち98%がEU域内へ輸出されている。生産量がEU第5位であるのに対し、輸出量では第3位となっており、牛肉自給率を見ても、EUで第1位の588%と有数の牛肉輸出国である。
また、アイルランド産牛肉は、「アイリッシュビーフ」として名前が知られており、品質の高い牛肉として知られており、EUの中でも牛肉を多く食すフランスなどでも好まれている。しかし、近年の景気後退により、EUの牛肉の消費量は減少しており、アイルランドのみならずEUの牛肉生産国にとって、域外の市場開拓は重要な項目となっている。
【矢野 麻未子 平成25年12月4日発】
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