欧州委員会は12月20日、2014〜2020年に係る新たな農業共通政策(CAP : Common Agricultural Policy)の正式決定を公表した。
これにより、過去3年にわたり議論と検討がなされた2014年からの新たなCAPが開始する。
CAPは、EUの共通農業政策として、EUの農業政策の方向を定め、EU全体の農業を牽引するものである。CAPは、改革時の時事に合わせて目標が定められ、また中間点における評価・分析などにより修正が加えられる。過去の実績を見ても、CAPの内容は加盟各国の農業に大きな影響を及ぼしている。
今回の新たなCAPについては、当初、WTOの進展が見られないこと、EUが経済危機に直面していること、EUで最も重要な農業の一つである酪農が2015年に生乳クオータ廃止も決定しておりその影響が見えないこと、などの理由により大きな改革はないという予測が太宗を占めていた。しかし、今回の結果をみると、EUは明確に「競争性の強化および持続可能性の強化」を追求する内容としており、かつて、生産を刺激する支払として排除してきたカップル支払枠(カップル支払とは、生産を刺激する補助のこと、反対に生産を刺激しない補助のことをデカップル支払という。)の拡充、直接支払に環境保護を条件としたGreening(緑化)を盛り込むなど、2013年までのCAPの内容とは大きく形を変えてきたものとなっている。