日本向け輸出解禁に伴うタイ産生鮮鶏肉の輸出見通し
日本はタイにおける高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の清浄性を確認し、両国間で家畜衛生条件に合意したことから、2013年12月25日付で、日本向けタイ産生鮮鶏肉の輸入停止措置を解除した。
今後、タイ政府が同国の生産・輸出施設の認定を行い、日本向けに輸出が可能となる。これにより、2004年1月の輸入停止以降、10年ぶりの輸入再開の見通し。
タイ産鶏肉の生産状況
7月に食鳥処理羽数の2割を有する大手鶏肉製造事業者は飼料高、法定賃金の値上げ、対米国ドルのバーツ高による輸出不振から経営難に陥り、加工工場は一時閉鎖されたものの、他の大手鶏肉製造事業者が閉鎖した加工工場と契約した農場からの鶏を受け入れたため、生産への影響は軽微にとどまった。このため、2013年1〜11月の食鳥処理羽数は10億1289万羽と、前年を上回る水準で推移している。
1〜11月の鶏肉生産量は139万トン(前年同期比4.4%増)と見込まれ、12月の食鳥処理羽数が前月並の9千羽を超えれば、年間生産量は151万トンに達する見通しである。
今後も、好調な内外需を背景に、現行の生産水準が維持されるものと考えられることから、日本向け生鮮鶏肉輸出への対応は可能と見込まれる。
日本向け輸出動向
タイ産はブラジル産と比べ日本向けの地勢的優位性があることに加え、バーツの対米国ドル為替レートは、2013年後半からバーツ安で推移しており、生鮮鶏肉の輸出には有利な状況にある。
このため、輸出が解禁されれば、日本向けの輸出は進むものと見られる。
ただし、タイは2004年1月の生鮮鶏肉の輸出停止を機に、日本向けは、鶏肉調製品(加熱加工品)の輸出拡大にシフトしてきた経緯を踏まえると、日本向け生鮮鶏肉の輸出が直ちに増加する可能性は低いと考えられる。
【宗政 修平 平成25年12月27日発】
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