中国、米国産鶏肉をめぐるWTOパネル裁定に上訴せず (中国)
世界貿易機構(WTO)は、中国の米国産鶏肉に対するアンチダンピング税および反補助金税を不当とする米国の主張を大筋で認めた。また、中国は上級委員会に上訴しなかった。これにより、2009年以降落ち込んでいる中国向け米国産鶏肉の輸入が回復すると見込まれる。
WTOの紛争処理小委員会(パネル)は2013年9月25日、中国による米国産鶏肉へのアンチダンピング税と補助金税に対し、課税は不当として米国の主張を大筋で認めた注。パネルの最終的な判定に不服がある場合、紛争当事国は、二審に当たる上級委員会に申し立てすることができるが、中国は上訴せずに今回の判定を受け入れることにした。
同年12月25日、商務部は2010年の米国産鶏肉に対するアンチダンピング税等に係る調査において確認された調査内容や証拠を見直すとともに、米国産鶏肉のダンピングの事実、国内産業の損害の事実などについて、改めて確認することとしている。
注:商務部は2010年8月および9月、米国産鶏肉に対する補助金支給やダンピング行為があったとして、アンチダンピング税と反補助金税を設定するとしたが、米国は2011年9月、中国側の措置を不当なものとしてWTOに訴えていた。
アンチダンピングの影響により、2009年に60万トン超の米国産鶏肉の輸入量は、2010年以降著しく減少した一方で、ブラジル産が米国産の減少分を補った。競合するブラジル産鶏肉の動向次第では、今後、2009年の水準まで回復するものと考えられる。
【山ア 博之 平成26年1月24日発】
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