新たなCAP改革に関し、EU市民は高く評価
欧州委員会は3月10日、EU28カ国を対象にユーロバロメータ―※によるCAPおよび地域社会について実施した世論調査結果を公表した。
これによると、約77パーセントのEU市民は「共通農業政策(CAP : Common Agricultural Policy)は、全てのEU市民にとって利益がある」とし、約90パーセントのEU市民が「新たなCAP改革は、公平、かつ焦点を絞っており、より環境に配慮した改革内容について支持する」との回答を得たことが明らかになった。
このユーロバロメータ―は、2013年12月にCAP改革が妥結した際、欧州委員会が「EU市民を対象に「CAPおよび農業の重要性」に関する世論調査を求めたため、11月23日および12月2日に実施されたものである。
※ユーロバロメータ(Eurobarometer):欧州委員会が世論分析のために設けているもので、これによって収集された世論の意見は、政策や意思決定のための参考としている。
今回の結果を受けて、欧州委員会ダチアン・チオロシュ農業・農村開発担当委員は、「この結果は、EU市民が農業や地域農村を支援することの重要性を認めていることの裏付けとなった。また、CAP改革の内容は、かなり高いレベルで市民の期待に応えたものとなったことを示している。農業者と市民との共生は、新たなCAPによってより強化し、全てのEU市民および納税者に対して社会的、環境的、経済的利益を向上するものである。」と述べた。
主な結果
・農業および地域社会を「とても重要」と回答した割合は53パーセントとなり、2009年と比べて7ポイント増加、「まあまま重要」と答えた割合を含めると92パーセントが重要であると認識。また、大多数の人々が、EUの農業および食品の多様性を保護するために重要であると考えている。
・80パーセントのEU市民が、今回のCAP改革の目的である食糧供給保証、地域社会の均衡的な発展、新規就農者支援を支持。さらに、91パーセントが環境保護を強化する「緑化:Greening」制度の設置を支持、94パーセントが更なる公平化および焦点化した改革を支持。
・EU市民の大多数は、EU予算の農業部門への配分割合を支持。生産者への助成金額について、45パーセントが「適正」、26パーセントが「少なすぎる」、13パーセントが「多すぎる」と回答。
・91パーセントのEU市民が、気候、健康関連および経済的困難による農業の脆弱的側面を支援することは重要であると回答。そのうち48パーセントは「とても重要」と回答。
・64パーセントのEU市民が、CAP政策の下に生産者に対して支援が行われていることを認知しており、2009年の41パーセントから大幅に増加。
・61パーセントのEU市民は、農業部門がその他の経済部門と比べて所得水準が低いことを認識。
・消費者情報調査では、EU市民は、牛乳や特定の食肉に対して食品の品質について非常に高い関心があり、製品のトレーサビリティに高い関心を保有。また、53パーセントが製品に原産地表示など更なる情報が加えられることによって製品価格が上昇することを容認。
【矢野麻未子 平成26年3月11日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際グループ)
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