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ロシア政府が豪州産牛肉の輸入停止を発表

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 ロシア政府は4月1日、豪州からの冷凍牛肉の輸入を4月7日以降停止すると発表した。ロシア政府は輸入停止について、豪州産牛肉からトレンボロンという成長促進ホルモン剤が検出されたためとしている。ロシア政府は、1月に豪州産牛肉の副産物、3月に冷蔵牛肉の輸入停止を実施しており、今回の措置により、豪州産牛肉の輸入はすべて停止されることになる。

 一方、豪州農漁林業省(DAFF)のジョイス農相は、ロシア政府の決定に反発している。報道によると、同農相は、「豪州の肉牛の一部に成長促進ホルモン剤は使われているが、ロシア向けについては、豪州・ロシア両国間の取り決めに基づき使用していない。ロシア側は豪州和牛肉から検出されたとしているが、高品質牛肉である豪州和牛肉に成長促進ホルモン剤が使用される可能性は極めて低く、同国の検査結果は疑わしい。ウクライナ情勢に起因した豪州政府によるロシア政府に対する制裁措置が背景にあるのではないか。」としている。その一方で、「今後、豪州政府としてはロシア政府により詳細な説明を求め、早期の解決を目指したい。」としており事態の早期解決を図っている。

豪州産牛肉のロシア向け輸出は減少傾向

 近年の豪州産牛肉のロシア向け輸出は、他の輸出国との競合や、ロシアが成長促進ホルモン剤を使用した牛肉の輸入を禁止していることを受け、減少傾向に転じている。DAFFによると、2012/13年度(7月〜翌6月)の豪州産牛肉のロシア等(CIS諸国)向け輸出量は、2万4372トンと、最大市場である日本向け29万8838トンの1割にも満たない規模である。今後の影響についてジョイス農相は、「ロシアの輸入停止に伴う市場の喪失は他国の市場拡大でカバーできる」としており、大きな影響はないという見通しを示している。
 なお、ロシアは世界最大の牛肉輸入国であるが、主な輸入先はブラジルやパラグアイ、ウルグアイなど南米諸国である。
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【根本 悠 平成26年4月7日発】
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