豪州最大手乳業、今年度5回目の生産者乳価引き上げを発表
豪州最大手の酪農協系乳業メーカーであるマレーゴールバン社(MG)は4月23日、生産者乳価を乳固形分1キログラム当たり6.66豪ドル(生乳1キログラム当たり48円相当:1豪ドル=97円)に引き上げることを発表した。これにより、生産者乳価は同0.13豪ドル(13円)上昇し、2013/14年度(7月〜翌6月)5回目の引き上げとなる。MGは、これにより、酪農家に新たに総額3100万豪ドル(30億700万円)の現金収入がもたらされるとしている。また、MGは、最近の乳製品輸出を取り巻く動向について「高止まりしていた乳製品国際価格は直近2カ月間下落傾向にあることや、米ドルに対する豪ドルの為替相場の上昇が、来年度の生産者乳価に影響を及ぼす可能性はあるとしつつ、今年度に関しては、好調な販売に支えられており、最近の国際価格や為替相場の動向が、今年度の生産者乳価に及ぼす影響は限定的とみられる。」としている。生産者乳価の引き上げに加え、最近の国際相場や為替相場の影響を限定的と表明することで、酪農家の増産意欲を促す形となっている。今回の引き上げにより、MGの生産者乳価は、豪州集乳量シェア第2位のフォンテラ社(ニュージーランド最大の乳業メーカーであるフォンテラ社の豪州法人)の同6.64豪ドル(644円)を上回ることになる。
豪州国内で高まる乳業間の競争
MGによる生産者乳価引き上げの背景には、豪州国内で進む乳業の再編と生乳獲得競争がある。近年、豪州の乳業界では、合併や外国資本による買収など再編が進んでいる。今年に入ってからも、1月のカナダの大手乳業サプート社による豪州の大手乳業ワーナンブール・チーズ&バター社(WCB)の買収、3月のイタリアの大手乳業パルマラット社による豪州の地方乳業ハービーフレッシュ社の買収が注目を集めている。こうした再編を伴う業界の厳しい競争を受け、豪州の乳業各社は、生産者乳価引き上げによる生乳(酪農家)獲得競争を繰り広げている。
【根本 悠 平成26年4月25日発】
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