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2012/13年度のニュージーランドの酪農経営、現金所得は大幅に減少

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 ニュージーランド(NZ)の酪農団体であるデーリーNZは5月1日、2012/13年度(6月〜翌5月)の酪農経営に関する調査結果を公表した。

 これによると、酪農経営における現金収入は、1経営体当たり96万1920NZドル(前年比8.3%減、8657万2800円:1NZドル=90円)と、4年ぶりに前年度を下回った。これは、現金収入の約9割を占める生乳販売金額が同9.2%減少したことが背景にある。近年、生産者乳価の上昇により、生乳販売金額は増加傾向であるものの、2012/13年度は、年度当初の乳製品国際価格下落に伴う生産者乳価の下落と、干ばつに伴う生乳生産量の減少が影響している。なお、現金収入の約5%を占める乳牛販売金額は、同5.2%上昇している。これは、干ばつに伴う乳牛の売却が増加したためとみられている。

 一方、酪農経営における現金支出は、同58万6744NZドル(同0.4%増、5280万6960円)と、3年連続で前年度を上回った。これは、現金支出の約2割を占める飼料費が、干ばつの影響により同5.3%増加したことが背景にある。近年、放牧が主体のNZにおいても、補助飼料の投入が増加しており、小麦や大麦に加え、パーム油かす(PKE:Palm Kernel Extract、搾油後のやしの実のかす)が使われている。2012/13年度のPKEの輸入量は前年度を3.7%上回る14億6400万トン、取引価格は前年度比13.4%高のトン当たり304NZドル(2万7360円)となっており、干ばつに伴うPKEの利用増が、飼料費の増加につながっているとみられている。さらに、干ばつへの対応などから、労働費、かんがいの施設整備費も増加しているが、その一方、肥料費や機器の修理維持費など支出が削減されたため、現金支出全体ではわずかな増加にとどまっている。

 この結果、酪農経営における現金所得(現金収入―現金支出)は、同37万5176NZドル(同19.3%減、3376万5840円)と、2年連続で前年度を下回った。近年、生産者乳価の上昇に伴い、現金所得はおおむね増加傾向にあったものの、2012/13年度の干ばつが経営動向に大きく影響を及ぼしたものとみられている。しかしながら、2013/14年度は、乳製品国際価格の上昇に伴い生産者乳価が上昇、また、生乳生産量も増加しており、経営環境の改善が見込まれている。
グラフ
【根本 悠 平成26年5月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533