メキシコの畜産をめぐる最近の情勢〜牛肉価格は高値続伸
2014年3月の牛肉生産量は、前年をやや上回る
メキシコ連邦政府農牧省農牧漁業情報局(SIAP)によると、2014年3月の牛肉生産量は、前年同月比4.4%増の14万8330トンとなった(表1)。この増加要因は、1頭当たりの出荷重量が同0.8%減とわずかに減少したものの、と畜頭数が同19.6%増となったことが挙げられる。牛肉生産量を州別に見ると、シェア1位のベラクルス州は2万126トン(同0.4%減)、第3位のチアパス州は1万89トン(0.8%減)となった一方、第2位のハリスコ州は1万6713トン(0.9%増)と増加が目立った。これは、同州では高温・乾燥気候が続いている影響で、早期出荷が増加していることに起因しているものとみられる。
また、SIAPが公表した2014年3月の牛枝肉の平均卸売価格は、2011年と2012年の干ばつの影響による牛飼養頭数の減少が響き、前年同月比3.7%高の1キログラム当たり49.67ペソ(435円)と高値で推移している(表2)。
メキシコの牛肉消費量、過去最低を記録
メキシコ牛肉肥育協会(Ameg)によると、2013年のメキシコの1人当たりの牛肉消費量は15キログラムとなり、2010以降、過去最低となった。減少の要因としては、同協会は2011年と2012年に発生した干ばつの影響により牛肉価格が上昇したことに伴い、消費者の購買意欲が減退していることを挙げている。
また、同協会のエンリケ・ロペス会長は、過去2年連続の干ばつにより減少した牛飼養頭数の回復には少なくとも3〜4年はかかるものの、牛肉の増産次第では、価格低下の恩恵を受け、消費量は16キログラムに回復すると見込んでいる。
なお、同国の1人当たりの牛肉消費量は1989年(27.4キログラム)をピークに減少傾向で推移している。
メキシコ政府、米国からの牛肉輸入条件を緩和
米国農務省海外農業サービス局が4月29日に公表した「GAIN Report」によると、メキシコ政府は2014年4月30日より米国産牛肉および副産物の輸入条件を変更した。メキシコの主要な牛肉輸入国は第1位が米国であり、2013年の同国からの輸入シェアは約90%を占めている。これまで米国からの輸入条件は、30ヶ月齢以下の牛肉および副産物のみとなっていたが、今回の条件変更により全月齢の牛肉などが輸入可能となった。しかし、現在、米国では肉牛飼養頭数の減少により、生産量が減少していることから、今回の輸入条件の変更が、メキシコ向け牛肉輸出量に大きく影響を及ぼすとは考えにくいとみられている。
【山神 尭基 平成26年5月21日発】
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