大豆の補助政策を変更、備蓄買付から補助金支給へ(中国)
中国国家発展改革委員会(NDRC)は4月末、大豆生産に関する補助政策を臨時備蓄買付から、目標価格を保証する農家への直接補助に変更した。大豆の目標価格は、主産地の東北部(黒龍江、吉林、遼寧の3省)と内モンゴル自治区で適用される。
目標価格は、毎年1月にNDRCが公表することとなっており、これに基づき農家への補助金支給の有無と支給額が決定される。農家出荷価格が目標価格を下回った場合、その差額が全額補助金として支給される。逆に上回った場合は支給されない。
2014年の目標価格は、1トン当たり4,800元(約7万8000円)と、2013年の臨時備蓄買付価格より同200元高く設定された。
制度の導入目的は、主産地における大豆の増産である。現地報道によると、黒龍江省では、2008年の大豆の作付面積は約400万ヘクタール、生産量は約600万トンであったが、収益性の高いトウモロコシへの作付転換が進んだ結果、2013年の作付面積は約240万ヘクタール、生産量は約400万トンまで減少した。さらに、2014年は目標価格の公表が遅れたため、東北部において大豆の作付面積は拡大しておらず、全国の作付面積は前年比3%減が見込まれている。
国産大豆の供給はタイト、価格は上昇基調に
5月に入り、臨時備蓄大豆の競売が行われ、2011年産が市場に放出された。しかし、国産大豆の価格は上昇傾向にあり、現地報道等によるとその要因は以下の通りである。
(1)現在、大豆の播種期であり、農家からの出荷量が少ない。
(2)目標価格が公表され、ユーザーが低価格大豆の仕入れ確保に不安を抱いたため、集中買付を招いた。
(3)ここ2週間、競売に出された臨時備蓄大豆に対して、ユーザーが買い漁る現象が生じており、落札価格が上昇している。
(4)農家はさらなる価格上昇を期待して売り惜しみ、供給がタイトになっている。
【木下 瞬 平成26年5月30日発】
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