NZ一次産業省の需給見通し、乳製品、牛肉の輸出は増加傾向
ニュージーランド(NZ)一次産業省は6月9日、2014/15年度(7月〜翌6月、生乳生産量は6月〜翌5月)から2017/18年度までの畜産物需給に関する見通しを公表した。
生乳生産、乳製品輸出ともに増加傾向
NZ一次産業省によると、2014/15年度の生乳生産量は、前年度を2.3%上回ると見込んでいる。これは、乳牛飼養頭数および1頭当たり乳量の緩やかな増加傾向によるものであり、2017/18年度までこの傾向は継続するとしている。
一方、2014/15年度の乳製品輸出総額は、生乳生産量はわずかな増加にとどまる中で、最近の乳製品国際価格の下落傾向に伴う輸出単価低下の影響を受け、前年度を10.1%下回るとしている。しかしながら、中長期的には中国やアジア各国における人口増加と所得水準の上昇に伴う乳製品需要の高まりから、増加傾向で推移すると見込んでおり、2017/18年度の輸出総額は、2013/14年度を4.7%上回るとしている。
なお、2014/15年度の生産者乳価については、乳製品国際価格の下落の影響から、前年度を15.7%下回るものの、過去10年の平均に比べれば高い水準を維持すると見込んでいる。
肉用牛飼養頭数は横ばい、牛肉輸出は増加傾向
NZ一次産業省によると、2014/15年度の肉用牛飼養頭数は、前年度を1.1%上回ると見込んでいる。これは、2012/13年度の干ばつから牛群の再構築が進むと見込まれるためである。しかしながら、中長期的には、南島を中心に肉用牛生産から酪農への転換が進んでいることから、増加傾向は継続せず、おおむね横ばいで推移するとしている。
一方、2014/15年度の牛肉輸出総額(子牛肉を含む。以下同じ。)は、前年度を1.0%上回るとしている。これは、NZの牛肉輸出の約半数を占める米国向けが、加工向けを中心に安定的に推移していること、FTAを締結している中国向けが急速に増加していることが背景にある。さらに、近年干ばつの影響を受けた米国や豪州における供給の減少とそれに伴う国際価格の上昇が見込まれることも、NZの輸出増加見込みを後押ししている。このため、中長期的にも輸出総額は増加傾向が継続するとしており、2017/18年度の輸出総額は、2013/14年度を14.5%上回るとしている。
【根本 悠 平成26年6月11日 発】
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