ロシア政府の輸入停止を受けた豪州政府および畜産関係団体の反応
ロシア連邦政府は8月7日、前日に発令された大統領令に基づき、農畜産物の輸入規制の対象とする国と品目を発表した。豪州からの食肉、乳製品、果物、砂糖など多くの農畜産物が輸入規制の対象となったが、これに対する豪州政府および畜産関係団体の反応は以下のとおり。
輸入停止措置の影響は限定的
豪州農漁林業省(DAFF)、豪州外務貿易省(DFAT)は8月8日、ロシアの輸入停止措置について、「失望した。いかなる市場であろうとその機会喪失は懸念される事態である。」との声明を連名で発表した。しかし、「ロシアは豪州にとって28番目の輸出先国であり、その比重は決して大きいとはいえない。農産物に限っては、輸出額全体の1%である。」とし、今回の輸入停止措置がそれほど大きな影響は及ぼさないとの見方を示した。
一方、ロシア向け農畜産物の生産者、輸出企業に対しては、「代替となる輸出先の確保が必要であり、豪州政府もそのための取り組みを進めている。焦眉の課題は、現在まさにロシアに向けて輸送中の畜産物の取扱いであり、代替し得る国へと輸送先を変更できるよう、豪州政府としても可能な限り支援を行っていく。」としている。
酪農産業界は早期解決を期待
牛肉と乳製品は豪州の主要畜産物であるが、輸出先に占めるロシアの割合は大きくない。
牛肉については、主要輸出先である日本、米国、韓国、中国向けが大きな割合を占めることから、影響は限定的とみられている(表1)。
一方、乳製品全体では、ロシアは主要な輸出先とはいえないものの、バターについては最大の輸出先である(表2)。このため、豪州酪農産業評議会(ADIC)は、「ロシアは豪州の酪農産業にとって重要なマーケットである。豪州の酪農家の経営に与える影響や、ロシアの消費者が豪州産の高品質な乳製品を購入できないことを懸念している。両国政府の対話による早期の解決を期待している。」との声明を発表している。
【根本 悠 平成26年8月18日発】
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