海外の需要を受け、牛肉生産量は増加、価格も高値で推移(メキシコ)
メキシコ連邦政府農牧省農牧漁業情報局(SIAP)によると、2014年6月の牛肉生産量は前年同月比1.6%増の15万1292トンとなり(表1)、2014年1月以降、増加傾向で推移している。
この増産要因は、米国での飼料穀物豊作による世界的な飼料価格の下落により、給餌量が増加し、1頭当たりの枝肉重量が同1.0%増となったことが挙げられる。
牛肉生産量を州別に見ると、生産量上位3州で前年を下回る水準となったものの、生産量第5位のバハ・カリフォルニア(前年同月比2.3%増)や第6位のミチュアカン(同2.0%増)で増加となり、主要州の減少分を補ったことから全体としては増加となった。
また、SIAPが公表した2014年6月の牛枝肉の平均卸売価格は、メキシコ国内の牛飼養頭数の減少や海外の需要増などを受け、前年同月比10.7%高の1キログラム当たり53.0ペソ(467円:1メキシコペソ=8.81円)と2011年以降、依然、高値で推移している(図1)。
メキシコ政府、牛群再構築対策として18億ペソを準備
現地報道によると、メキシコ農牧省(SAGARPA)は、同国の牛群再構築対策として、約18億ペソ(138億円)の補助金を準備するとしている。同国では、2011年に発生した干ばつの影響により、繁殖雌牛などのと畜が進んだことや、米国への生体牛輸出が増加したことなどから飼養頭数が減少している(図2)。このため、肥育もと牛価格や肥育牛価格は高水準で推移しており、輸出向け肥育もと牛価格に至っては、過去15カ月の間に1ポンド当たり2.4米ドルにまで上昇している。
補助金の具体的な内容は、明らかにされていないが、SAGARPAは、今回の対策により、高騰を続ける生体牛価格の緩和を図るとともに、同国の約7万人の繁殖農家を支援するとしている。
【山神 尭基 平成26年8月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532