2013/14年度の生体牛輸出頭数、過去最高を更新(豪州)
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が8月15日に公表した生体輸出統計によると、2013/14年度(7月〜翌6月)の生体牛輸出頭数は113万3456頭(前年度比78.9%増)と、過去最高を更新した(図)。
国別では、最大の輸出先であるインドネシア向けが前年度から2.3倍の62万4749頭となった他、ベトナム向けが13万1367頭(同8.3倍)、イスラエル向けが10万8053頭(同60.7%増)、中国向けが9万4211頭(同59.0%増)、マレーシア向けが5万5438頭(同43.8%増)、ロシア向けが5万80頭(同37.9%増)と、いずれも大幅な増加となっている。
インドネシア向けは、2010年以降の同国内の牛肉自給率向上を目的とした輸入規制の厳格化に加え、2011年の動物愛護問題を契機とした豪州の禁輸措置や、2012年のインドネシアの輸入割当頭数の大幅減などから、2012/13年度まで一貫して減少したが、インドネシアが2013年後半から国内牛肉価格の高騰を抑制するため割当頭数を拡大したことから、2013/14年度は前年度の2倍以上まで回復した。
2013年に急増したベトナム向けは、インドネシア向けの増加を受けて2014年には減少すると見込まれていたが、2014年前半は前年同期を上回るペースで輸出されている。MLAは7月に公表した見通しにおいて、ベトナム国内の肉牛不足や牛肉への堅調な需要から、豪州の生体牛への強い引き合いは今後数年継続するとしている。
生体牛輸出への強い需要は長期化の可能性
MLAは7月公表の見通しの中で、「生体牛輸出市場からの強い需要は、干ばつや乾燥気候による肉牛出荷増を一部吸収し、肉牛価格の下げ圧力を幾分緩和する助けとなった」としている。2014年後半からは、干ばつの緩和による肉牛出荷減少などの要因から、生体牛輸出のペースは減速するものの、需要は衰えず高い水準を維持すると見込んでいる。また、堅調な生体牛輸出が、今後、豪州国内の肉牛飼養頭数の減少やと畜頭数減少の一因につながるとみている。
生産者団体である豪州肉牛協議会(CCA)は、生体牛への国際的な需要の強まりはこれまでに例を見ないものとし、この需要が長期的に続く可能性を示唆している。
【伊藤 久美 平成26年8月20日発】
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