米国農務省動植物衛生検査局(USDA/APHIS)は8月28日、アルゼンチンのパタゴニア地域(北部および南部)を口蹄疫および牛疫の清浄地域のリストに追加する提案を行った。今回の提案に際しAPHISは、アルゼンチン政府からの視察要請に基づき、当該地域を対象にリスクアセスメントを実施した結果、パタゴニア地域に口蹄疫が存在しないこと、また、アルゼンチン政府が同地域で実施している防疫対策が、輸入家畜や食肉を通じて米国に口蹄疫が侵入するリスクを最小化されていると認定した。ブラジルを除く南米諸国では、牛疫の発生はなく、唯一発生のあったブラジルでも100年前のことであり、すでに清浄化されている。今回の提案に対して8月28日から60日間、パブリックコメントが募集されている。
今回の提案は、アルゼンチン産の生体牛や生鮮・冷凍牛の米国向け輸出に道を開くものとなる。これに対し全米肉用牛生産者・牛肉協会(NCBA)は8月29日に声明を発表し、アルゼンチンの北部地域は、APHISが口蹄疫清浄化地域と認定した地域ではなく、口蹄疫のウイルスを米国内に持ち込む可能性があることから、米国の家畜生産のみならず、最終的には米国経済や食料安全保障にも大きなリスクをもたらすことになるとの懸念を示している。
なお、国際獣疫事務局(OIE)は、パタゴニア地域をワクチン非接種洗浄地域と認定している(図)。