欧州委員会は11月19日、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の酪農家を対象に総額2800万ユーロ(41億4400万円:1ユーロ=148円)の支援策を講じると発表した。これは、8月から継続しているロシアによる農畜産物の禁輸措置に対応したものである。
2013/14乳業年度(4月〜翌3月)の生産実績(生乳クオータの範囲内)に応じ、エストニアに690万ユーロ(10億2120万円)、ラトビアに770万ユーロ(11億3960万円)、リトアニアに1410万ユーロ(20億8680万円)が配分されることとなる。
バルト三国はロシア向けの輸出割合が高く、2013年実績では乳製品の生産量の15%、輸出総量で60%がロシアに輸出されていた。このため、EU加盟国の中でも、ロシアによる禁輸措置の影響が強く、バルト三国の生乳価格(9月)は前年同月比27%安と大幅に下落していた。このことから、3カ国の行政機関と生産者団体は、欧州委員会に対し何らかの救済措置をとるよう求めていた。
今回の措置についてバルト三国の連合組織は、歓迎の意向を示すとともに、「EUの結束力を示して欲しい」とコメントしている。しかし、予算規模については不十分としており、「キログラム当たり0.06ユーロ(8.9円)の下落が生じているが、今回の予算規模では0.01ユーロ(1.5円)程度の効果しか得られない」としている。
なお、この支援措置は、欧州委員会に委譲されている権限内で実行され、具体的な手法については、11月20日の専門委員会で決定される予定である。