韓豪FTAは2014年内に発効予定、豪州牛肉産業に恩恵
豪州のアンドリュー・ロブ貿易投資相は12月3日、同年4月8日に調印した韓国との自由貿易協定(FTA)について、年内の12月12日に発効すると発表した。
FTA発効と同時に、豪州から韓国に輸出される品目のうち、84%の関税が即時撤廃され、最終的には98.8%の品目が撤廃となる。
牛肉および牛乳・乳製品は2015年1月1日に2年目の関税が適応
主要農産品の関税のうち、牛肉(現行関税率40%)および牛内臓肉・くず肉(同18%)については、15年かけて撤廃される。また、牛肉については、豪州からの輸入量が一定量を超えた場合に譲許税率を引き上げるセーフガード措置が導入される(表1)。
牛乳・乳製品は品目別に対応が異なっており、(1)飲用乳・クリーム・ヨーグルトなど(同36%)や、ホエイ(同49.5%)、デイリースプレッド(同8%)は3〜20年で段階的に撤廃、(2)バター(同89%)やチーズ(同36%)、育児用調製食品(同36%、40%)は関税割当を導入し、枠内税率は無税、枠外税率は13〜20年目に撤廃(表2)、(3)粉乳類(同176%)、れん乳・バターミルクなど(同89%)、発酵乳など(同36%)は関税撤廃の除外品目―とされた。
また、牛肉や乳製品など段階的に関税が撤廃される品目は、2014年12月12日から1年目の税率が適用され、2015年1月1日からは2年目の税率となる。
なお、農産品のうち、粗糖※や小麦、ワイン、一部の園芸作物については即時撤廃されることとなっている。
豪州肉牛生産者団体は韓豪FTAを高く評価
豪州肉牛生産者団体であるCattle Council of Australiaは、韓豪FTAの年内発効は、豪州産牛肉が、米国産に対して不利な立場となることを避けるために不可欠なものであり、これを勝ち得たことは豪州の肉牛生産者にとって大きな成功だ、としている。
先の2012年3月に発効した米韓FTAにより、2014年の韓国市場での米国産牛肉への適用税率は32.0%と、豪州産との関税率の差は8%にまで拡大した。韓豪FTAが発効されて以降は、この差が5.4%に縮小されることになり、豪州の牛肉業界は、これが韓国市場へのさらなる輸出機会をもたらすものと歓迎の意を示している。
なお、2013年の豪州の韓国向け牛肉輸出量(船積重量ベース)は14万4364トンと、日本、米国、中国に次ぎ、第4位となっている(図1)。一方、同年の韓国の牛肉輸入量の国別シェアは、豪州産が55%、米国産が34%と、豪州が最大の牛肉輸入相手先となっている(図2)。
【伊藤 久美 平成26年12月9日発】
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