2014年7月1日で失効となった米国西海岸港湾の労働協定(6年ごとに更新)に関し、米国西海岸の29の港湾を代表する太平洋海事協会(PMA)と、国際港湾倉庫組合(ILWU)との交渉は未だ続いており、2015年1月5日から連邦政府調停局(FMCS)も仲裁役として交渉に介入したが、現在のところ進展は見られない。
この交渉の影響により、昨年9月頃から港湾作業遅れによる貨物の滞留や混雑等が発生し、輸出向けを含むコンテナ貨物の取扱いに影響が発生している。港湾施設・ターミナルの機能は現地時間で1月27日現在、完全には停止してないが、2015年に入ってから西海岸の主要港で夜間の荷受け作業が中止されるなど、港湾作業の更なる遅延が発生しており、貨物によっては20日以上の遅れも発生している模様である。
米国食肉輸出連合会(USMEF)によると、牛肉や豚肉の輸出量のうち78%が西海岸の港湾を利用しており、また、アメリカ乳製品輸出協会(USDEC)によると、乳製品も同じく5割以上が西海岸の港湾を利用している。このため、全米豚肉生産者協議会(NPPC)は2015年1月、労使交渉が合意に達しても、オークランド港では滞留しているコンテナをさばくのに30〜45日程度は必要と発表するなど、米国の畜産物輸出に影響が生じている。食肉業界は西海岸以外の輸送手段を模索しているが、カナダの港湾からの輸出能力には限界があることや、東海岸からの輸送には時間を要することなどから、代替手段の確保が困難な状況にある。
全米の食肉産業の関連団体である北米食肉協会(NAMI:North American Meat Institute)によれば、港湾作業の遅れにより、食肉業界だけで週当たり3000万米ドル(35億7千万円:1米ドル=119円)の損害が発生と推計している。この事態を受けて、全米の農業、製造、小売・流通業者等175団体は1月16日、速やかに労使交渉の妥結を求める書簡を、PMAとILWUに発出している。