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海外資本による農地取得の審査基準が厳格化(豪州)

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最終更新日:2015年2月13日

 豪州政府は2月11日、海外資本による農地取得の審査基準額の変更を発表した。
 政府は外資受け入れの必要性を認識し、基本的に歓迎の姿勢を示しているが、多額なもの※1やセンシティブ品目(メディアや通信など)に係るもの、政府系企業によるものなど一部案件については、外国投資審査委員会(FIRB)による事前認可を必要とし、個別に審査を実施している。
 多額な案件のFIRBの審査基準額は2億5200万豪ドル※2(236億8800万円:1豪ドル=94円)であり、現行では、農地取得の場合にもこれが適用されている。今般の変更により、3月1日以降、この基準額が1500万豪ドル(14億1000万円)にまで引き下げられ、その基準額の適用対象は、海外の投資家が所有する農地の総額となる。
 また7月1日からは、豪州税務局(ATO)が、新たな外資の農地取得案件について、その取得額にかかわらず全ての情報を収集し、それまでに外資が取得した農地の現状調査も実施する、としている。
 今回の措置は、2013年の選挙時に現政権のアボット首相が公約として掲げたもので、それが実現する形となった。政府は、これらの措置が豪州の国益を守り、かつ、外資に対する地域の信頼へとつながる重要な一歩になる、としている。

※1 審査基準額以上の資産価値を持つ企業(豪州企業および在外子会社)の事業権益を、海外の民間投資家が単独で15%以上、複数で40%以上の株式や議決権を取得あるいは買収しようとする場合。
※2 毎年1月1日に物価変動を反映して審査基準額が決定されるが、額は2015年のもの。ただし、ニュージーランドや米国、韓国、日本などFTA締結国についてはセンシティブ品目を除き、10億9400万豪ドル(2015年)が審査対象の基準額となっている。

生産者団体は歓迎の意を示す

 豪州農業者連盟(NFF)は、同日付で声明を発表し、「豪州の農業の発展のためには海外からの投資が不可欠であるが、その投資を成功的かつ持続的なものにするためには、適切な審査や透明性が必要と考え、外資による農地取得の監視の厳格化とその取得状況の報告を、長らく政府に要請してきた。今回の政府の決定は、我々の政策課題の前進につながる歓迎すべき第1歩」とした。
 なお、NFFはこの声明の中で、解決すべき重要な課題はまだ残されているとし、農業インフラやサプライチェーン、水利権などもその対象とすべきという考えも示している。


【伊藤 久美 平成27年2月13日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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