欧州委、乳製品の短期的需給見通しを公表
欧州委員会は3月10日、農産物の短期的需給見通しを公表した。このうち、牛乳乳製品の2015年の需給見通しの概要は、以下のとおりである。
生乳生産量、1.2%増
2014年末の乳価下落に伴い経産牛の淘汰が進んだことから、2015年の経産牛頭数は前年比0.7%減の2310万頭となる。1頭当たりの乳量は2.0%増の6,876キログラムとなり、2015年の生乳生産量は、同1.2%増の1億6240万トンと予測された。クオータ廃止後の初年度は緩やかな増加に留まるとみられている。
飲用牛乳など生産量、0.6%増
2015年の飲用牛乳などの液状乳製品の生産量は同0.6%増の4,757.8万トン、EU域内消費は同0.4%増の4,675.2万トンと予測された。主要通貨に対するユーロ安の影響により、輸入量は同20.0%減と大きく減少の1.2万トン、輸出量は中国向けやベラルーシ向け需要が堅調なことから大きく増加の同15.0%増の83.8万トンとなると予測された。
チーズの生産量、1.0%増
2015年の主力輸出品目であるチーズの生産量は同1.0%増の956.1万トンと予測された。これは、2014年の8月に最大の輸出先であったロシアの禁輸措置により、2014年の輸出量は同8.4%の減少となったが、2015年はアジア向けなどの輸出が伸びて同5.0%増の75.7万トンと予測されている。
脱脂粉乳の生産量、7.7%%増、バター2.6%増
ロシアの禁輸措置の影響により、チーズに仕向けられる生乳の一部が脱脂粉乳向けとバター向けに仕向けられたことから、2014年の脱脂粉乳とバターの生産量は、それぞれ同23.2%増、同3.9%増となった。2015年も同様に生産量は、それぞれ同7.7%増、2.6%増と予測された。2014年の脱脂粉乳の輸出については、価格低下が需要を引き起こしたした結果、同58.9%増となり、2015年においても輸出需要は継続し、同15.0%増の74.3万トンと予測されている。バターの輸出については、2014年は8月以降、最大の輸出先であったロシア向けを失ったが、アジアや中東、北アフリカからの強い需要があり結果として同17.7%増となり、2015年においても同9.0%増の14.9万トンの輸出と予測されている。
【中野 貴史 平成27年3月19日発】
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