2014/15年度主要穀物の生産状況等調査結果(第6回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は3月10日、2014/15年度(10月〜翌9月)第6回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を発表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月発表するものである。
これによると、2014/15年度の主要穀物の作付面積は、5739万ヘクタール(前年度比0.6%増)と見込まれている。このうち、大豆は、3133万4900ヘクタール(同3.9%増)と増加が予測されており、生産量は過去最高の9325万9900トン(同8.3%増)が見込まれている。
一方、第1期作のトウモロコシの作付面積は、昨年度に引き続き大豆への転換が進むとの見込みを受け、607万6200ヘクタール(同8.2%減)と減少が予測されており、生産量は2972万2000トン(同6.1%減)が見込まれている。
第1期作トウモロコシ生産量、前回報告から40万トン下方修正
2014/15年度のトウモロコシ生産は、2013/14年度に米国などの豊作を受けてトウモロコシの国際相場が低価格で推移し、ブラジルでも収益性が乏しかったことから作付面積および生産量は減少が見込まれている。
第1期作トウモロコシは、例年、8月下旬頃から南部より順次作付けされる。今回の調査結果では、収穫の進展を反映し、第1期作トウモロコシの生産量が前回報告から40万トン下方修正され、前年比6.1%減の2972万2000トンが見込まれている。
州別の作付状況を見ると、トウモロコシの主要生産地である南部、南東部のすべての州で作付面積が前年度を1〜2割下回ると予測されるている。また、単収を見ると、高温乾燥の影響で南東部や中西部が前回報告より下方修正された。一方、水分過多気味とされていたリオグランデドスル州(第1期作トウモロコシ生産量国内第2位)の天候が良化したことを受けて単収が大幅に改善し、国内の第1期作トウモロコシ生産量の落ち込みを若干緩和した。
第2期作トウモロコシは、主要生産州での作付けが進展している中、国内最大のトウモロコシ生産州であるマットグロッソ州と、それに次ぐパラナ州で作付面積が減少する予測となっている。マットグロッソ州においては、第2期作トウモロコシの作付適期に降雨が不足したことに加え、2月18日に発生したトラック運転手によるストライキ(※現在は収束)も作付けに一部影響があったとしている。
CONABは、新興農業開発地域である北東部を中心としたマトピバ地域の2014/15年度のトウモロコシ生産量を、前回報告からは18万トン下方修正し、同4.2%増を見込んでいる。前回報告から下方修正した要因として、マトピバ地域を牽引するバイーア州において、第1期作の作付適期に天候が不安定だったことが挙げられている。なお、マトピバ地域では大豆の生産も拡大しているが、輪作作物としてトウモロコシが選択されており、トウモロコシの生産も年々拡大している状況にある。
大豆生産量、過去最高を更新の見込みも前回から132万トン下方修正
一方、2014/15年度の大豆生産量は、前年度比8.3%増の9326万トンと過去最高を更新する見込みである。この要因として、国際価格は下落しているものの、生産コストや生育リスクが低く、他の作物よりも収益性が高いことが挙げられている。
例年、大豆の作付けは、9月頃から順次開始され、12月までにほぼ終了する。今年度は、10月中旬頃まで天候が不安定で、主要生産地の一部でも作付けが遅れたものの、11月以降は天候が回復し、その後の生育は良好とされていた。しかしながら、主に中西部のゴイアス州においては11月後半から1月にかけて高温乾燥の影響で生産性が低下して生産量が落ち込んだ。また、主要生産地域である南部では、前述のストライキにより農業機械に使う燃料の供給が滞り、収穫作業が制約されたため、生産量が若干減少した。これにより、国内の大豆生産量は、前回報告から131.7万トン下方修正された。
なお、CONABは、これまで大幅な伸びを記録してきたマトピバ地域について、2014/15年度の大豆生産量も作付面積の拡大と単収増で大幅な増加を見込んでいる。
【米元 健太 平成27年3月20日発】
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