欧州委員会が公表したEUの2014年12月現在の牛総飼養頭数は、前年同月比0.8%増(69.1万頭増)の8832万頭となった。欧州委員会の統計では肉用牛と乳用牛の区別はないが、この増頭は、2015年4月の生乳クオータ制度廃止を見込んだ酪農部門がけん引したとみられている。
国別の牛飼養頭数の動向を見ると、EU最大の牛肉生産国であり、また、同2番目の生乳生産国であるフランスが、同0.6%増(12.4万頭増)の1925万頭と最大の牛飼養頭数国となり、EU飼養頭数全体の21.8%を占めた。次いで、同2番目の牛肉生産国であり、同最大の生乳生産国であるドイツが、同0.4%増(5.6万頭増)の1274万頭と全体の14.4%を占めた。3番手は、牛肉生産、生乳生産ともに同3番目となる英国で、同0.1%増(1.1万頭増)の969万頭と全体の11.0%を占めた。この3カ国でEUの牛飼養頭数のほぼ半数を占めている。
生乳クオータ制度廃止後に、最も生乳生産の伸びが見込まれているアイルランドは、同1.0%減(6.6万頭減)となっているものの、搾乳牛頭数は同4.2%増(4.5万頭増)と加盟国の中で最大の伸び率を記録しており、酪農部門の増産意向が読み取れる結果となった。
欧州委員会が3月9日に公表した農産物の短期需給見通しによると、2015年は生産者乳価の回復に時間を要し、生産者の増頭意欲に勢いがないこと、また、クオータ超過に係る課徴金を抑えるために搾乳牛の淘汰が進められたことから、搾乳牛頭数はわずかに減少するとみられている。