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米国の義務的原産地表示制度(COOL)、上級委員会もWTO協定違反と報告

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 世界貿易機関(WTO)上級委員会は2015年5月18日、米国の食肉の義務的原産地表示制度(COOL)を違反とした、2014年10月に出されたパネルの見解を支持する報告を行った。パネルの見解は、WTOのTBT協定2.1条(同種の産品に対し国産品よりも不利でない待遇を与える義務)について、違反しているとの判断を示したものである。
 この上級委員会の報告を受け、カナダ政府およびメキシコ政府は、今回の報告を歓迎するとともに、WTOに対して報復措置を取るための手続きを開始するとの声明を発表した。

ただし報復措置が行われるまでには、
(1) WTOの紛争解決機関(DSB)が今回の上級委員会の報告を採択(報告日から原則として30日以内)
(2) 仲裁による履行期限の決定(採択から原則として15カ月以内)
(3) 期限内に是正措置が履行されない場合、両国政府からDSBに対して対抗措置の承認申請
(4) 対抗措置の承認が行われるか、その措置に異議がある場合には仲裁に付託(履行期限後30日以内)
(5) 仲裁が決定されれば(履行期限後60日以内)、その後、仲裁の場で対抗措置の内容が決定され、申請、承認、発動
の手続きが踏まれることから、報復措置が実際に行われる場合でも、その時期は2015年10月以降になると見られている。

 カナダは以前に報復措置の対象として、牛肉、豚肉、鶏肉、チェリー、チョコレートなどを提示している。メキシコは対象リストを公表していないが、豚肉が含まれる可能性が高いとみられている。
 米国の食肉、酪農乳製品、穀物関係団体等が加盟している「義務的原産地表示の改革連合」(COOL Reform Coalition)※は、同日付で米国議会に対し直ちに是正措置を講じるよう求める声明を発表した。
 一方で米国議会では、有力議員の間で同制度の維持に賛否両論の意見が出ていることから、今後、議会での動向が注目されている。
※畜産物や穀物関係団体としては、米国飼料産業協会(AFIA)、トウモロコシ精製業協会(CRA)、国際乳製品協会(IDFA)、全米鶏卵生産者協会(NAEF)、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)、全米トウモロコシ生産者協会(NCGA)、全米穀物飼料協会(NGFA)、全国生乳生産者協議会(NMPF)、全米豚肉生産者協議会(NPPC)、全米北米食肉協会(NAMI)、鶏卵生産者連合(UEP)、 アメリカ乳製品輸出協会(USDEC)等が加盟している。
【平石康久 平成27年5月19日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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