欧州の穀物作、牧草は順調な生育と予測(EU)
1 穀物作は平年を上回る予測
欧州委員会が5月26日に公表した作物の生育状況調査(MARS:Crop monitoring in Europe)によると、2015年の穀物の生育状況は概ね好調であり、特段の懸念事項は見当たらないとしている。同年の穀物全体の収穫見通しとしては、2014年が豊作であったため、前年比4.8%減とされているものの、過去5カ年平均との比較では2.7%増と予測している(表)。この要因として、ヨーロッパ全域で冬期の気温が平年よりも高かったことに加え、十分な降水量があったためとしている。
家畜飼料としても利用される軟質小麦とトウモロコシは、平年比で3%以上の単収増が見込まれているが、前年比ではトウモロコシが9.0%減とかなりの減少が見込まれている。2015年も順調な天候が予測されているが、前年ほどの気温の上昇が見込まれないことが減少の要因としている。
2 牧草生育は過去最高レベルと予測
好天により豊作が見込まれる穀物と同様に、牧草の生育も順調である。欧州委員会の分析によれば、EU加盟国全てで平年以上の生育状況が確認されており、特にアイルランド、イタリア、スロヴェニアでは、同様の調査が開始された1998年以降で、最大の収量が見込まれている(図)。
2月以降、平年を上回る気温が続き、十分な降水量があることが好調の要因とされており、南ヨーロッパでは平年を大きく上回る生産を予測している。
生乳クオータ制度の廃止により、酪農家は生産量の上限が撤廃されている。こうした中、穀物と牧草生産の増加見込みを受け、昨年を超える生乳生産が予測される状況となっている。
【宅間 淳 平成27年6月8日発】
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