ロシア大統領府は6月24日、2014年8月から実施しているEUなどからの農畜産物の禁輸措置を、1年間延長すると発表した。今回の延長により、2016年8月まで禁輸措置が取られることになる。
なお、メドベージェフ首相は、禁輸対象となる農畜産物が変更になる可能性を示唆しているが、まだ詳細は発表されていない。
《現時点の禁輸措置の概要》
・2014年8月7日開始 実施期間は1年間(当時の発表)
・対象国:EU加盟国(28カ国)、米国、カナダ、豪州、ノルウェー
・対象品目:食肉、魚介類、乳製品、青果物など
※乳児用粉ミルクなど乳幼児向け製品、
無乳糖(ラクトースフリー)乳および無乳糖乳製品などの一部目は対象外。
EUや米国などの西側諸国は、ロシアによる東ウクライナの政情不安を引き起こす動きを非難し、同国への経済制裁を実施している。昨年8月から続くロシアによる禁輸措置は、こうした経済制裁への報復措置である。
今回の禁輸延長は、6月22日に欧州委員会が決定したロシアに対する経済制裁の半年間(2016年1月末まで)の延長に対抗したものとみられている。関係者の間では、欧州委員会の決定と同様に、半年程度の禁輸措置の延長が予想されていたが、これを上回るものとなった。
禁輸措置が取られるまで、ロシアはEUにとって最大の農畜産物の輸出先であったため、1年間の延長はEUの農畜産業にさらなる影響を及ぼすとの懸念もある。しかし、一部の専門家には、既にEUはアジアや北アフリカ、中東など、ロシアに代わる新たな輸出先の確保ができているとして、影響は限定的であるとの見方もある。
※これまでの禁輸措置の経緯、内容については以下の記事を参照