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JBS社によるカーギル社の米国豚肉部門の買収が合意(米国)

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 世界最大規模の食肉企業であるJBS社(本社:ブラジル)は2015年7月1日、カーギル社の米国豚肉部門を14億5000万米ドル(1798億円:1米ドル=124円)で買収することで合意したと発表した。なお、米国事業を展開するJBS USA社(JBS社の子会社)およびカーギル社は、米国ではタイソン社やスミスフィールド社などと並ぶ大手食肉企業である。
 今回の買収は、カーギル社が所有する食肉加工場2カ所(アイオワ州、イリノイ州)、飼料工場5カ所(ミズーリ州、アーカンソー州、アイオワ州、テキサス州)、養豚場4カ所(アーカンソー州、オクラホマ州、テキサス州)を対象としている。

 JBS USA社は、すでに米国の牛肉および家禽肉生産では、それぞれ大手であり、今回の買収により豚肉生産も上位に浮上するとされている。ただし、今回の買収によりJBS USA社の食肉産業に占める割合が増加し、寡占化による自由競争の低下や生産者の価格交渉力の低下などが起こりうると規制当局が判断した場合、承認が見送られる可能性がある。関係者の間では、今回の買収を豚肉部門だけの事業とみなすか、JBS USA社の食肉事業全体の事業とみなすかによって、判断が分かれるとされている。

 この発表に対し、カーギル社の報道担当者は同日、「JBS社の提案は長期的に見て、わが社に有益であると判断した。」と述べている。
 JBS社は、これまで行ってきた一連の買収について、国内外の消費者ニーズに沿った形で、調理済み食品や付加価値食品事業を成長させる事業戦略の一環としている。なお、JBS社は6月21日に、ブラジル大手食肉企業のMarfrig Global Food社の英国の食肉子会社買収も発表している。
【渡邊 陽介 平成27年7月3日発】
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