米国では、6月に入り鶏卵価格が高騰している。同月の全米主要12都市の鶏卵卸売価格(速報値)では、1ダース当たり2.37米ドル(292円:1米ドル=123円)と、前年同月比95%高、上昇傾向にあった前月比でも61%高となった(図1)。
これは、昨年末から発生した鳥インフルエンザ(AI)の影響で、多くの採卵鶏が処分されたことが主な原因とみられている。鶏卵業界では、AIにより処分された家きん約4800万羽のうち、8割が採卵鶏と推計している。米国農務省(USDA)の報告によると、今年の4月下旬以降、採卵鶏農場1カ所当たり100万羽単位での処分が行われており、この影響が6月に入って現れたものとみられる。
多くの採卵鶏が処分されたことで、2015年5月の採卵鶏羽数(月間平均)は前年同月比5.1%減の3億4200万羽、同月の鶏卵生産個数は同6.5%減の68億6000万個と減少している(図2)。6月1日時点の採卵鶏の羽数も3億2900万羽と減少しており、6月の鶏卵生産個数はさらに減少するとみられている。
鶏卵生産の回復見通しについて米国鶏卵委員会(AEB)は、1年程度は必要としている。