欧州委員会が7月22日に公表した統計によると、リトアニアが脱脂粉乳197トンを公的在庫としたことが明らかになった。EUの公的在庫は、脱脂粉乳の卸売価格が公的買入価格(100キログラム当たり169.80ユーロ(23,262円:1ユーロ=137円))を下回った場合、EU全体で10.9万トンの買入上限まで各加盟国の買入機関が脱脂粉乳の製造業者または取扱業者の申請に基づき同価格で買入れるものである。
脱脂粉乳のEU平均価格は、2009年の9月以降、公的買入価格を上回って推移しているが、直近の7月13日の週の価格は、同175ユーロ(32,975円)と今年最安値を更新し、公的買入価格まで同6ユーロ(822円)を切っている。脱脂粉乳の卸売価格が公的買入価格を下回っている加盟国は少なくないとみられているが、現時点でその他の加盟国からの申請は挙がっていない。
脱脂粉乳の民間在庫補助(PSA)の状況を見ると、2014年11月から7カ月間に渡って在庫は15,000トンの水準を上下し、在庫の積み増しに大きな変化はなかった。これは、価格が下がっているものの、一定の輸出需要があったためとみられる。しかし、脱脂粉乳価格の下落が続いていることで、2015年7月に入りリトアニアのほか、ドイツ、オランダ、スペイン、アイルランド、ベルギーからもPSAの申請が行われている。
一方、バターの卸売価格は、直近の7月13日の週では100キログラム当たり297ユーロ(40,689円)と、公的買入価格の同221.75ユーロ(30,379円)まで開きがあるが、毎月のPSA期末在庫は積み増している。2015年1月末に22,203トンであった在庫は、その後右肩上がりで増えており、直近の5月末には63,810トンとなっている。
このような中、欧州委員会のホーガン農業・農村開発担当委員は、9月30日までとされている脱脂粉乳およびバターの公的買入およびPSAの実施期間の延長の意向を表明した。