豪州のジョイス農相は7月20日、中国向け肥育もと牛およびと場直行牛の生体輸出に係る衛生条件について合意したと発表した。
同声明の中でジョイス農相は、「中国向け輸出は乳牛が中心であったが、今回の合意により、中国向けに肥育もと牛、と場直行牛の輸出開始の目途が立った。今後、輸出業者は、中国の輸入業者とともに、ESCAS(輸出業者サプライチェーン保証システム:注)の履行に向けた手続きを開始することが可能になる。」としている。ただし、同声明では、具体的な合意内容は明らかにされておらず、今後いくつか必要な手続きは残されている。
一方、豪州生体家畜輸出協議会は、「豪州の生体牛輸出業界にとって重要な進展であり、輸出先の多様化につながる。この結果、豪州は中国に肥育もと牛およびと場直行牛を輸出する最初の国となる。旺盛な国内消費を背景とした中国のフィードロットや食肉処理場からの需要に応えるものになると見込んでいる。」としている。
また、同協議会は、今後の手続きについても見通しを示しており、「ESCASへの対応や中国当局の輸入許可が必要となるため、実際の輸出開始がいつになるか明言することは難しいが、向こう数カ月程度で実現されることを期待している。」としている。
豪州の生体牛の最大の輸出先はインドネシアであり、2014年は全体の55%に及ぶ約70万頭を輸出している。しかし、インドネシア政府は2015年7月、同年第3四半期の豪州産生体牛の輸入割当頭数について、第2四半期の25万頭を大幅に下回る5万頭と発表しており、豪州の生体牛輸出業界にとって深刻な事態となっている。このため、業界としては、今後、中国向け輸出の開始が輸出先の多様化につながることを期待している。
注:ESCAS(Exporter Supply Chain Assurance System:輸出業者サプライチェーン保証システム)は、豪州政府が定めた生体家畜の輸出に係る制度。肥育もと牛およびと場直行牛を輸出する際、輸出業者が輸入業者と連携し、輸入国側でのアニマルウェルフェアやトレーサビリティなどに係る措置について、一定の規則に則ったものであることを保証するもの。