欧州委員会は7月30日、脱脂粉乳とバターの公的買入実施期間および民間在庫補助(PSA)の申請期限をいずれも2016年2月29日まで延長すると公表した。
これは、域内の乳製品価格の下落が続く中、ロシアが農産物の禁輸を2016年8月まで1年間延長したことを受け、短期的に需給が好転する見通しがないことから、セーフティ・ネットとして現行の価格支持政策を継続して実施するとしたものである。
公的買入は、EU規則に定められた制度であり、脱脂粉乳10.9万トン、バター5万トンを上限に毎年3月1日から9月30日の間に基準価格を下回った場合、固定価格で買入れて市場から隔離することにより、域内価格の安定を図るものである。この延長により、公的買入は、2016年9月30日まで切れ目ない実施が可能となる。なお、買入上限数量は2月29日をもってリセットされる。
一方、PSAは、民間部門が保管する経費を補助することによりバターと脱脂粉乳を市場隔離する仕組みであり、2014年8月のロシアの禁輸を受けて緊急対策として実施され、現行の期限は3回の延長を経て2015年9月30日までとされていた。