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欧州委員会、5億ユーロの緊急支援策を発表(EU)

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 欧州委員会は、9月7日に開催された緊急農業理事会で乳製品や豚肉に対する5億ユーロ(675億円)の緊急支援策を発表した。

 今回の緊急農業理事会では、昨今の乳製品や豚肉価格の低迷により困窮する生産者の経営支援策の検討が行われ、具体策として(1)生産者のキャッシュフロー対策、(2)市場価格の安定化、(3)供給者側の強化が挙げられた。

 生産者のキャッシュフロー対策としては、共通農業政策(CAP)による直接支払の前倒しの実施などが盛り込まれた。2つ目の市場価格の安定化としては、民間在庫補助(PSA)の予算や輸出促進事業の拡充、また、2014年4月に開設された牛乳・乳製品市場観測委員会が提供するウェブ情報の強化などが示された。PSAの拡充では、現在、実施されている脱脂粉乳の補助率引き上げに加えて、チーズと豚肉が補助対象とされた。
 3つ目の供給者側の強化策としては、閣僚級のグループを立ち上げて生産者の危機管理手段としての農産物の先物市場などが検討される。

 一方、多くの加盟国や農業団体から要望のあったバターと脱脂粉乳の公的買入価格の引き上げは見送られた。これは、かねてから欧州委員会のホーガン農業・農村開発担当委員が発言してきたように、公的買入価格の引き上げは需給不均衡の根本的な解決にはならないとし、改めて市場化を推進する欧州委員会の方針が強調された。
 これら対策の具体的な実施要領は、今後、欧州委員会で検討され、早期の実施が予定されている。
 今回の発表に際し欧州委員会は、これら緊急支援策は、生産者に対する強固で決定的な支援であると強調し、多くの加盟国からはおおむね好意的な反応を得たとしている。しかしながら、チェコやスロバキアなどは対策が不十分と表明し、EUの農業協同組合中央組織である欧州農業組織委員会/欧州農業協同組合委員会(COPA/COGECA)は、満足するには程遠い内容であると批判している。

【中野 貴史 平成27年9月9日発】
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