豪州の穀物生産見通し、冬作物は上方修正
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は9月8日、最新の穀物生産見通しを発表した。
冬作物の2015/16年度生産見通し、冬から春の降雨見通しを受け上方修正
ABARESは、2015/16年度(7月〜翌6月)の冬作物(3月〜6月にかけては種、10月〜翌2月にかけて収穫)の生産予測を発表した(表1)。これによると、2015/16年度の冬作物全体の生産量は4141万1000トン(前年度比7.9%増)と、前回6月に発表した見通し(3867万8000トン)から上方修正した。
この見通しについて、ABARESは、主産地である西オーストラリア(WA)州やニューサウスウェールズ(NSW)州において、8月以降、両州の全域で十分な降雨量が得られたこと、さらに、豪州気象局の見通しにおいて、9月〜11月にかけて、WA州、NSW州、ビクトリア州および南オーストラリア州で平年以上の降雨が得られる確率が50%を上回っていることを、主な要因としている。この結果、生産量は、主産地であるWA州とNSW州においてともに100万トン近く増加する見通しとなっており、これが豪州全体の生産量の増加見通しをけん引している。
品目別に見ると、冬作物生産量の6割以上を占める小麦は、作付面積はほとんど変化していないものの、生産量は2528万4000トン(同6.8%増)とかなりの程度増加すると見込まれている。また、同じく2割程度を占める大麦は、作付時に市場価格が高かったこともあり、作付面積が399万6000ヘクタール(同4.2%増)とやや増加し、これを受けて生産量は862万3000トン(同7.6%増)とかなりの程度増加が見込まれている。
夏作物の2015/16年度生産見通し、ソルガムの生産減少を受け減産傾向
また、ABARESは、2015/16年度の夏作物(10月〜翌1月にかけては種、3月〜4月にかけて収穫)の生産予測を合わせて発表した(表2)。
これによると、2015/16年度の夏作物全体の生産量は390万7000トン(同2.2%減)と、前年をわずかに下回る見通しとなった。これは、夏作物の主産地であるNSW州南部とクイーンズランド州北部において、播種開始時期に平年以上の降雨が得られる確率が50%を上回り、気象条件は良好に推移すると見込まれているが、夏作物全体の生産量の6割を占めるソルガムの単収が、平年を上回った前年度よりは減少することに伴って、生産量は202万9000トン(同3.6%減)と減少が見込まれていることなどによる。
【竹谷 亮佑 平成27年9月11日発】
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