欧州青年農業者協議会(CEJA)は、「食」をテーマに開催されているミラノ国際博覧会で9月8日、マニフェスト(声明文)を公表した。
CEJAは、欧州連合(EU)の前身となる欧州経済共同体(EEC)の加盟全6カ国(ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、オランダ)の青年農業者団体を会員として1958年に設立された。現在は、本部をブリュッセルに置き、24カ国のEU加盟国から32の全国団体を会員とし、青年新規就農支援や青年農業者の経営環境改善のための仕組みを共通農業政策(CAP)に反映させるために活動している。
EUにおける35歳未満の就農者は、全体の6.5%に過ぎない一方、55歳以上の就農者は半数を超える状況から、CEJAは、将来の食料供給および農業が社会に及ぼす多面的な機能を維持するためには、若者が農業に就き、営農を継続できる効果的な支援が急務であると主張する。今回のマニフェストは、CAPにおいて青年農業者支援策を拡充させることを目的としている。
注:2014年から2020年までを実施期間とする現行のCAPにおいて、直接支払いとして支払われる基本支払い額に加え、青年農業者は、青年農業者支援額が上乗せされて支払われることになるなど、現行のCAP において青年農業者対策が拡充されたのはCEJA の活動の影響が大きいと評価されている。
【マニフェストにおける要求事項】
1 農地取得に当たっての公的支援と青年農業者に対する政府による債務保証
2 生産者を保護し、不公平な取引を抑制するため、小売業者に対する罰則を含めた規制の措置
3 巨大小売事業者に対する交渉力の強化のための生産者団体に対する支援
4 価格下落時の青年農業者の所得を補償する施策
5 環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)交渉において、EU基準を守り、EUの家族農業モデルを維持するため、センシティブ品目に対する緊急輸入制限条項を措置し、輸出促進費を拡大すること
6 貿易交渉における透明性の確保と生産者、特に青年農業者の関与を増やすこと
7 土壌を保全し、食料生産を最適化する青年農業者の土地取得に対する支援
8 消費者の理解を促すため、原産地、製造工程、期限表示や保管に係る適切な情報提供
9 小売業者などが発生する食品残渣をNPO などに提供できる法整備
10 青年農業者の営農技術および経営能力の向上を促す教育と情報提供