2015年8月の中国のトウモロコシ輸入量は60万7000トンとなり、そのうち73.3%の44万5000トンがウクライナからの輸入となった。2014/15年度(10月〜翌9月)8月までの累計で見ると、ウクライナからの輸入量は425万8000トンを記録しており、中国のトウモロコシ輸入量の79.6%を占めている。
ウクライナ産トウモロコシの輸入が拡大している背景には、2012年の中国・ウクライナ農業開発プロジェクト(注1)の存在が大きい。このプロジェクトにより、中国はウクライナからのトウモロコシ輸入を加速させてきた。
一方、2013/14年度まで中国の最大のトウモロコシ輸入先国であった米国は、2014/15年度8月までの累計では46万6000トンと、そのシェアを大幅に減少させている(表)。
2013年11月、米国産トウモロコシから未承認のGM種子であるMIR162(注2)が検出されたことで、中国政府は米国産トウモロコシの輸入を大幅に制限した。2014年12月に中国は、MIR162の輸入を承認したとされるが、公的な発表がなく、米国側がシップバックを警戒していることに加え、米国産より安価なウクライナ産などの輸入量が増加していることから、2015年に入ってからも米国産は引き続き減少傾向にある。
注1:中国がウクライナに対して30億米ドル(3600億円:1米ドル=120円)の融資の返済手段として、中国にトウモロコシを輸出するもの。このプロジェクトには、中国輸出入銀行、中糧集団公司(COFCO)などが介在。
注2:シンジェンタ社が育成した、鱗翅目(チョウ類)害虫に抵抗性を持たせたトウモロコシ品種。