欧州委員会は10月、EU主要12カ国の2015年(5・6月時点)の牛飼養頭数を公表した。
これによると牛飼養頭数は、前年比0.8%増(前年比55万8千頭増)となった。公表のあった12カ国の牛飼養頭数はEU全体の8割程度を占める。
加盟国別に見ると、スペインが同3.8%増(同22万6千頭増)と最大の増加率となり、次いでオランダが同1.9%増(同7万8千頭増)となった。一方、デンマーク、スウェーデン、イタリアでは同1.0%程度の減少となった。なお、欧州委員会の統計では肉用牛と乳用牛の区別はないことから、その内訳は明らかではない。
牛飼養頭数のうち乳用経産牛頭数は、同0.7%増(同11万4千頭増)となった。アイルランド、オランダ、英国で、それぞれ同5.7%増(同6万9千頭増)、同3.5%増(同5万5千頭増)、同2.0%増(同3万6千頭増)となっている。これは、2015年3月末の生乳クオータ(生産上限枠)撤廃により増産体制を整えていたオランダなどの主要酪農生産国で酪農部門の拡大が図られたことを示している。
また、スペインなどでは、牛飼養頭数が増える一方、乳用経産牛が減少していることから、酪農部門は縮小し、肉牛部門が拡大しているとみられる。乳価が低水準で推移している中で、乳用経産牛については、加盟国間の頭数差が広がりつつある。