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中国向け牛肉輸出は急拡大が続く(ブラジル)

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 世界最大級の牛肉輸出国であるブラジルは、2015年6月4日付で中国向け冷凍牛肉(2015年5月19日以降に生産され、骨を取り除いた30カ月齢以下のもの)の輸出が再開し、以降、同国向けは順調に増加している。
 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2015年6月の対中国向け冷凍牛肉輸出量は3736トンであったが、7月には1万トンを超えた(図)。さらに、9月には1万6194トンにまで一気に拡大し、ブラジルの主要輸出先となっている。
 この背景には、中国が南米からの食肉調達を強めていることが挙げられる(注)。同国は、旺盛な国内需要に対応するため、安価な南米からの牛肉調達を拡大させており、ブラジルのほか、ウルグアイやアルゼンチンからの輸入も大幅に増やしている。また、ブラジル牛肉の主要輸出先であった香港向けは、中国政府が密輸食肉の取り締まりを強化したことで減少傾向にあり、これも中国向け輸出を相対的に後押ししたとみられている。

 なお、中国の国家質量監督検験検疫総局・食品安全局の「食肉類検査検疫参入リスト(10月27日付)によると、ブラジル産牛肉の中国向け輸出認定施設は、ブラジルの食肉企業4社が所有する8カ所であるが、今後、増加の可能性があるとみられている。
図
 米国農務省(USDA)によると、2015年のブラジルの牛肉生産は、2013〜2014年にかけて発生した高温乾燥の影響で子牛生産が滞ったことから前年を下回ると予想しており、輸出量も減少を見込んでいる。このため、中国向けの輸出余力も限定的とみられることから、今後の国際需給を見る上で、どの程度までブラジル産牛肉の中国向けが拡大するか注目されている。
【米元 健太 平成27年11月9日発】
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