アルゼンチン大統領選、決選投票の末、野党候補が勝利
現地11月22日に行われたアルゼンチンの大統領選は、事前に優勢が伝えられていた中道右派の野党候補マウリシオ・マクリ氏(現ブエノスアイレス市長)が勝利した。
今回の大統領選は10月25日の投票で決着がつかなかったため、11月22日に改めて上位2名による決選投票が行われたが、マクリ氏の勝利を受け2003年から続いたキルチネル政権(※)が終わりを迎えることとなった。
現地情報によると、政権交代となった背景としては、現在の第2期クリスティーナ・キルチネル政権では、政策の誤りが正されず問題が深刻化したことで、高インフレ・外貨準備高の減少を招き、深刻な経済低迷が続いていたことが挙げられる。農業分野においても、国内供給優先の政策により各種輸出規制が講じられ、潜在的な生産余力・輸出競争力を発揮できない状況が長らく続くなど、政策への不満が高まっていた。
こうした状況からの劇的な変化を望む機運が高まった結果、キルチネル路線を一定程度継承するとみられるダニエル・シオリ氏(現ブエノスアイレス州知事)よりも、市場経済を重視して現在の低迷からの脱却を図るマクリ氏が支持される結果となった。
新大統領は12月10日に就任し、その後具体的な政策のすり合わせが行われることになるが、インフレ対策や経済復興対策、外貨購入の自由化のほか、下表のような農業分野の公約実現も期待されており、特に穀物生産者の生産意欲を大いに後押しするとみられる。
※キルチネル政権…
第55代大統領のネストル・キルチネル氏の任期は2003年〜2007年。ネストル大統領夫人から第56代大統領となったクリスティーナ・キルチネル氏の任期は2007年〜2015年(2期)と、合計3期13年にわたって続いたペロン(正義)党政権。
【米元 健太 平成27年11月24日発】
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