中国の主要経済紙である第一財経日報は12月1日、2014年1月に始まった「単独二子政策」(注)(以下、「二子政策」という)における第2子出産希望の申請数について、中国人民大学社会人口学院のテキ振武(テキは羽の下に隹)院長に取材を行い、2015年10月末までの累計で185万件になったと、同院長のコメントを報じた。
同院長によると、累計申請数は、二子政策の対象夫婦数(全国で1100万組)の16.8%にとどまり、予想した同60.0%の660万件を大きく下回った。中国共産党の機関紙である中国青年報は、若い世代を中心に生活への不安から、第2子の出産に消極的な夫婦が多いとしており、このことが申請数が伸びなかった要因の一つと考えられる。
二子政策は一人っ子政策の廃止決定に伴い終了し、今後はすべての夫婦が第2子をもうけることが可能となる。一人っ子政策の廃止には、根拠法である「人口・計画生育法」の改正を行う必要があり、改正時期について同院長は、年内に予定されているとした。同法が改正された後、各地方政府の関係法が改正され、30年以上続いた一人っ子政策が完全に終了することとなる。
注:一人っ子政策下の中国で、一部の地域を対象に、夫婦のどちらかが一人っ子の場合、第2子をもうけることが可能となった政策。2013年11月開催の第18期中央委員会第3回総会(3中全会)で、高齢化の進行、生産人口の減少を打開するために公布され、2014年1月から2015年10月末まで実施。
【参考 単独二子政策で増加した育児用調製粉乳の消費量】
中国における0〜3歳までの乳幼児における育児用調製粉乳(以下「育粉」という)の消費量は、2013年で対象年齢層1人当たり年間12.9キログラム(参考注1)とされている。
今回の二子政策に申請した乳幼児全員が育粉を消費したと仮定すると、年間5966トン(0〜3歳の4年間で2万3865トン)の需要が創出されたことになる。これは、中国の直近(2015年10月)の育児用調製品輸入量(1万4413トン(参考注2))の約4割に相当する。
参考注1:オランダの金融機関ラボバンク調べ。
参考注2:「Global Trade Atlas」。HSコードは190110で、9割以上が育粉。