脱脂粉乳、価格は今年最低水準で公的在庫が積み増し(EU)
欧州委員会が12月16日に公表した統計によると、直近の12月7日の週の脱脂粉乳の平均卸売価格は、前週比1.4%安、前年比10.0%安の100キログラム当たり170.6ユーロ(2万3031円:1ユーロ=135円)となった。
脱脂粉乳の平均卸売価格は、2015年8月24日の週に同169.0ユーロ(2万2815円)まで下落したのを底値に、その後は10月に同180ユーロ台に回復したが、国際的な需給のだぶつき感などを要因に価格は再び下落基調に入り、公的買入価格(同169.8ユーロ(2万2923円))に限りなく近づくこととなった(図)。
こうした中、同じく12月7日の週には新たにベルギーで1651トンの脱脂粉乳の公的買い入れが実施された。11月16日の週以降、再び公的在庫量の積み増しが続いており、2015年7月に6年ぶりの公的買い入れが実施されて以降、これまで9カ国を対象に在庫量は合計3万353トンとなった(表)。
生乳取引価格は、クオータが撤廃された2015年4月以降、増産を反映して、低迷が続いている。EUが実施する公的在庫のほかにも民間事業者の保管経費の一部を補助する民間在庫補助(PSA)の在庫量も積み上がっており、欧州乳業協会(EDA)によると、EU域内の脱脂粉乳の在庫量は適正水準を大きく上回っていることから、今後の脱脂粉乳価格の回復には相当の期間を要すると業界はみている。
【大内田 一弘 平成27年12月17日発】
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