豪州の穀物生産、ソルガム、小麦、大麦いずれも増加見通し
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は12月、最新の穀物生産見通しを発表した。
夏作物の2015/16年度の生産予測、ソルガムはかなりの程度増加
ABARESは、2015/16年度(7月〜翌6月)の夏作物(2015年10月〜2016年1月にかけては種、2016年3〜4月にかけて収穫)の生産予測を発表した(表1)。
これによると、2015/16年度の夏作物全体の作付面積は、119万7000ha(前年度比11.7%増)と増加するものの、生産量は、386万9000トン(同4.4%減)と減少すると見込まれている。これは、作付面積はソルガムや綿実を中心に一定の増加が見込まれている一方で、米の生産量が、主要生産地域であるニューサウスウェールズ(NSW)州南部の乾燥気候に伴うかんがい用水の利用量減少により、大幅に減少する見込みであることが影響している。
また、夏作物生産量全体の約6割を占めるソルガムの作付面積は、70万1000ha(同7.7%増)、生産量は、221万4000トン(同5.2%増)と見込まれている。これは主要生産州であるクイーンズランド州において、春季(9〜10月)に広く降雨が見られたことや、夏季にかけても適度な降雨が予想されていることが背景にある。
冬作物の2015/16年度の生産予測、小麦は減少する一方、大麦は増加
ABARESは、2015/16年度の冬作物(2015年3〜6月にかけては種、2015年10月〜2016年2月にかけて収穫)の生産予測を発表した(表2)。
これによると、2015/16年度の冬作物全体の作付面積は、2292万8000ha(同1.3%増)、生産量は、3908万5000トン(同1.8%増)と見込まれている。
このうち、冬作物生産量全体の約6割を占める小麦については、作付面積は1379万3000ha(同0.1%減)とほぼ前年並みとなった一方、生産量は2398万2000トン(同1.3%増)と見込まれている。最大の生産州である西オーストラリア州では、春季(9〜10月)の降雨の減少と平年を上回る気温により、生産量はわずかに減少したものの、第2の生産州であるNSW州では、11月以降のまとまった降雨による生産環境の回復から、生産量がかなり大きく増加した結果、豪州全体ではわずかに前年度を上回る見込みとなっている。なお、小麦の品質については、全国的に高温乾燥気候の影響を受けているものの、その度合いは地域ごとに大きく異なるとされている。
一方、大麦については、作付面積は399万6000ha(同4.2%増)と、冬作物の中で小麦、大麦に次ぐ生産量であるカノーラの作付面積の減少を相殺する形で増加し、生産量も818万2000トン(同2.1%増)と増加が見込まれている。また、通常、品質の良い大麦はビール原料に優先的に仕向けられるが、高温乾燥気候の影響から、品質の劣るものが多く、飼料原料仕向けの増加傾向が見られている。
【根本 悠 平成27年12月21日発】
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