欧州連合統計局(EUROSTAT)は12月15日、EUの農業者所得に関する推計値を公表した。これによると、2015年の農業者1人当たりの実質農業者所得※は前年比4.3%減となり、2014年の同1.7%減からさらに低下した。加盟国別(28カ国)で見ると、15カ国で前年を下回り、ドイツやポーランド、デンマークなどでの減少幅が目立っている。
この要因の一つとして、ロシアによるEU産農畜産物の禁輸措置などを背景とした畜産物価格の長引く低迷が挙げられる。畜産物の生産額は、EUの農業生産額の4割を占めており、特に、2015年は生乳生産額(前年比14.9%減)、豚肉生産額(同8.9%減)ともに大きく落ち込んだことが実質農業者所得の低下に影響を与えることとなった。
※ 実質農業者所得・・・農業収入(関連する補助金を含む)から必要経費(減価償却費などを含む)を除した所得を、物価変動を考慮して調整したもの