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義務的原産地表示制度(COOL)から牛肉、豚肉の除外を決定(米国)

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 米国農務省(USDA)は12月18日、米国の義務的原産地表示制度(COOL)の対象から牛肉および豚肉(ひき肉を含む)を除外し、同日から適用すると発表した。これは、同日付のオバマ大統領による同制度の修正を含む一括法案への署名を受けたものである。
 米国のCOOLは、牛や豚の繁殖・肥育・と畜が行われた国の表示を義務付けている。このため、カナダ、メキシコ両政府は、米国のフィードロットなどが米国外で繁殖や肥育された家畜を取り扱う時に、分別と記録の手間が増すことから、米国のCOOLが自国の畜産生産者に不利に働いているとして世界貿易機構(WTO)に提訴し、WTO紛争処理委員会がCOOLはWTO協定違反との決定を下したことから、米国に対する報復措置の承認を求めていた。

米国やカナダの業界は決定を歓迎

 北米食肉協会(NAMI)、全米肉用牛生産者・牛肉協会(NCBA)および全米豚肉生産者協議会(NPPC)は、USDAの発表に対し、いずれも歓迎のコメントを発表している。また、カナダ肉牛生産者協会(CCA)およびカナダ豚肉協議会(CPC)は、カナダの牛肉・豚肉業界がこれまでCOOLによって損害を受けてきた点に言及しつつも、歓迎の意向を表明している。

カナダ政府は決定を歓迎しつつ報復措置の保留を示唆

 カナダおよびメキシコ両政府は12月19日、「牛肉と豚肉を直ちにCOOLから除外するとした決定を歓迎」との共同声明を発出した。
 なお、カナダ国際貿易相およびカナダ農業・農産食料相は12月21日に共同声明を発表し、WTO紛争処理委員会が同日付で正式にカナダとメキシコによる報復措置を承認したことを踏まえ、「WTOが承認した報復措置が必要とされないよう、カナダの肉牛や豚の輸出を妨げた措置が、米国市場で完全に撤廃されたことが明らかになるまで米国の動きを注視する」として、報復措置の発動を保留することを示唆している。
【平石康久 平成27年12月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際情報グループ)
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