サウジ政府系機関、ブラジル牛肉大手に投資(ブラジル)
サウジアラビアの政府系投資機関であるSALICは2015年12月23日、英国子会社のSALIC UKを通じて、ブラジル第2位の牛肉輸出企業であるMinerva Foods社(以下、「Minerva」と言う)の株式を一部取得することに合意したと発表した。
今回の交渉は、SALIC UKとMinervaの創業者であるケイロス家が運営するVDQホールディングスの間で行われ、Minervaの増資に併せて同社の株式の19.95%を総額7億4643万6974.4レアル(約224億円、1レアル=30円)で取得することになる。なお、現地報道によれば、中国系企業もMinervaへの出資交渉を行っていたが、最終的な合意には至らなかった模様である。
Minervaは、今回獲得する資金を元に南米で施設買収を進め牛肉生産のさらなる拡大を図るものとみられる。また、現地報道によると、SALICは今回のMinervaとの提携の他に、ブラジルの穀物市場への参入も希望している模様である。
Minerva Foods社…
1957年にブラジルで創業した大手牛肉パッカーで、同国における牛肉生産シェアは第3位、牛肉輸出シェアは第2位。輸出仕向け割合が7割と高く、ハラール対応に優れていることから中東諸国からの引き合いが強い。ブラジル国内17カ所のほか、近隣のパラグアイ3カ所、ウルグアイ2カ所、コロンビア1カ所にと畜・加工施設を有している。2015年の売り上げは79億9700万レアル(約2363億円)で、このうち約4分の3は食肉輸出、残りは国内食肉販売、生体牛輸出などによる。
SALIC…
食料純輸入国であるサウジアラビアが、将来的な人口増加や世界の食糧安全保障に寄与する目的で、グローバルな投資活動を念頭に設立した政府系農畜産物投資機関。2012年より活動を開始している。「小麦」、「大麦」、「トウモロコシ」、「大豆」、「米」、「砂糖」、「食用油」、「青刈り飼料」、「食肉」の合計9つの品目を主に取り扱っている。2015年4月には、米国の穀物大手Bunge社と合弁でカナダの小麦大手CWB社の株式50.1%を取得し、社名を「CWB」から「G3 Global Grain Group」に変更した。
【米元 健太 平成28年1月12日発】
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