乳製品価格の下落に伴い、市場介入措置への申請が増加(EU)
EUでは、乳製品価格の下落に伴い、脱脂粉乳、バター、チーズとも軒並み市場介入措置への申請が増加している。品目別の状況は以下の通り。
脱脂粉乳
欧州委員会が2016年1月10日に公表した統計によると、脱脂粉乳の公的買入は同年1月4日の週に2015年7月以降の買入措置で最大となる6359トンが申請された。中でもベルギーが2182トン、英国が1135トンと両国ともにこれまでの最大の申請量となった。今回の申請分を加え、累計では4万6639トンが公的買入の対象となった。
脱脂粉乳の平均卸売価格は下落しており、同年1月4日の週は、公的買入が実施されて以降、最安値となる100キログラム当たり166.7ユーロ(前年同期比10.4%安、2万1338円:1ユーロ=128円)となり、公的買入価格(同169.8ユーロ)を下回った。
民間事業者の保管費用の一部が補助される民間在庫補助(PSA、保管期間:90日〜210日間)については、同年1月4日の週にベルギーとオランダの2カ国で計947トンが申請された。
また、このPSAとは別に、緊急支援対策により昨年10月から実施されている緊急PSA(保管期間:365日)については、同週にベルギー、フランス、オランダの3カ国で計1138トンが申請され、両PSA合わせて2085トンと前の週を上回る申請となった。
バター
バターの平均卸売価格も、脱脂粉乳同様に下落しており、同年1月4日の週は、100キログラム当たり284.9ユーロ(前年同期比0.4%安、3万6469円)となった。2015年10月以降、需給に改善が見られ、PSAへの申請数量は減少していたが、同年12月末の価格下落とともに申請量が増え、同週は、フランス、オランダ、ドイツ、ベルギー、リトアニア、オーストリアの6カ国で計3990トンの申請となり、4カ月ぶりに3千トンを超えた。
チーズ
脱脂粉乳と同じく緊急PSAが実施されているチーズ(限度数量10万トン)については、同年1月4日の週までに10カ国で合計3万431トンの申請があった。チーズについては、補助対象品の審査に時間を要しており、申請のうち補助が確定したものは8カ国で合計1万6815トン(申請比55.3%)となっている。
受付け開始から3週間で国別の割当量を超える申請を行ったイタリアは、割当量12万15トンに対し、補助確定数量は316トン(同2.6%)にとどまっている。
なお、アイルランド(割当量1835トン)、リトアニア(同1163トン)、スウェーデン(同945トン)、英国(同3854トン)の4カ国は、国別の割当量を既に満たしているが、18カ国は現時点では緊急PSAに申請していない。欧州委員会では、今後、申請状況を見て各国の割当量を再配分するとしている。
【中野 貴史 平成28年1月15日発】
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