欧州委員会は2016年1月4日、豚肉の民間在庫補助(PSA)の申請受付を開始した。PSAは、ロシアの禁輸措置や生産量増加などにより価格が低迷しているEU豚肉産業の救済策として実施されているものである。
同年1月11日に公表された欧州委員会の資料によると、受付開始1週目は、加盟28カ国のうち18カ国から合計4万6430トンの申請があった。これは、2015年3月9日から8週にわたって実施された前回の実績(6万3507トン)の7割強に当たる。
加盟国別の申請量を見ると、スペイン(占有率25.8%)とドイツ(同23.0%)でEU全体の約半数を占め、次いでオランダ(同13.9%)、デンマーク(同12.7%)と主要豚肉輸出国からの申請が続いている(表1)。
品目別に見ると、モモ(骨抜き)が2万4728トン(占有率:53.3%)と最も多く、保管期間別では、90日間が2万9298トン(同63.1%)と最も多かった(表2)。なお、ロシアの禁輸措置の打撃を受け、今回から新たに対象となった豚脂は、5239トン(同11.3%)の申請となった。
豚枝肉卸売価格は、例年、クリスマス需要を終えた1月中下旬にかけて下落傾向にあるが、今回のPSAは前回実施から補助額が約2割引き上げられていることから、多くの豚肉がPSAにより市場隔離されるものと見られ、需給改善に向けたEU豚肉関係者の期待は高い。